キャブのセッティング方法
■その6:実践■
■(1)まず最初に:
キャブを新品に入れ替えた直後なら、アイドルストップスクリューを緩め、
またアクセルケーブルに「遊び:約5ミリ」があるかチェックする。同時に燃料漏れ等の有無もチェックしてから
エンジン始動。アイドリングするように、アイドルスクリューを回して
適当に調整してやりましょう。
その後は、とりあえずエンジンを暖機します。冷たい間にセッティングしても
暖まってからでは燃調が全然違いますから。
■(2)暖機:
■(3)実走行(中低速側):
■(4)実走行(高速側):
■(5)実走行(仕上げ):
■(5)実走行(仕上げ:2):
■その7:走行条件■
キャブレターの燃調は意外とデリケートなもので、
ノーマルなら(ほぼ)1年中対応のように設計されていますが、
社外の大口径キャブに交換したら気候条件、走行条件で
すぐに燃調が変化します。その例を挙げてみます。
■(1)温度:
気温が高ければ酸素密度が低くなって混合気が(相対的に)濃くなり、気温が低ければ酸素密度が高くなって
燃調が薄くなります。要するに、冬に燃調を濃くしてやるのはこのためです。
■(2)気圧:
気圧が高いと酸素密度が高くなって、混合気が薄くなり、気圧が低いと空気が薄くなるので
混合気が濃くなってしまいます。標高の高い所へ行くと燃調が狂って走りにくくなるのはこの為です。
■(3)湿度:
湿度が高いと空気中の酸素密度が下がり、混合気が濃くなります。
雨の日にカブりやすいのは、エアフィルタが水滴で詰まり、燃調が濃くなるのと同時に
湿度によりさらに濃くなるからです。
■その8:小ネタ■
初心者の方がエンジンを改造してセッティングを出す際に、
セオリー(定説)通りに燃調を変化させたのに調子が悪くなった、と
よく聞きます。当然と言えば当然です。キャブレタは構造が簡単そうに見えますが、
実は相当な精密部品なのです。
今回はセッティングする箇所を基本中の基本に絞ったのですが、
実は1つのキャブレタ内でセッティング可能な箇所は10点以上になります。
(普通は変更できませんが)それぞれの箇所で1/100ミリの精度、又はそれ以上で
パーツが造られています。
そして、定説通りに燃調が合わない理由は複雑な流体工学が関係してくるからです。
良い例が、「ライトボアアップ」「パワーフィルター」取り付け後、メインジェットを濃くしたら
調子が悪くなったが、逆に薄くしたら燃調が合った・・・。と言う話です。
確かに、空気の流入量は増えるから燃料も多くならないと・・・というのは考えられます。
ですが、これも1つの例にすぎません。結局は実際に走ってセッティングを出すのが一番だと思います。
■その9:最後に■
キャブレターのセッティングはとても難しい所もありますが、きれいにビシッとセッティング
が出たらとても嬉しいです。現在自分は泥沼化してまだ苦戦しております(笑)。
上級者ほど、様々なデータが身に付いていて、素早くセッティングを出してしまします。
素人にはとても無理なので、地道にデータを取っておくことをお勧めします。
自分は「データ修得日/気温/メインジェット番数/クリップ位置/
スロージェット番数/使用マフラー/(高・中・低)速の各走行データ」を
記録しています。絶対無駄になりませんから。
でも未だきっちり出た事が・・・。TM24-MJNはシビアでした・・・(涙)。
エンジンの組み合わせも影響しているんでしょうが・・・。
たまに、突然セッティングが出る時がありあますが、コンスタントに
出すにはまだまだデータが足りないです。PC20キャブなら一発だ!(笑)
それじゃ、みなさんも頑張ってくださいね(笑)。
<実践編>
エンジンを暖機しましょう。
だがしかし、
エンジンがかかったからといって、安心することなかれ(笑)。
最初はアイドリングで暖機するのですが、
この時に燃調が薄すぎると焼き付きを起こしたりしますので要注意。
エアースクリューを回し、最も回転が高くなる位置に調整します。
この時、回転戻し量が3回転以上ならスロージェット番数を下げて、
逆に全閉〜1/2回転戻しならスロージェット番数を上げてやります。
ちなみに、全然1〜2回転戻しで安定してしまって全然変わらないよ?
と言う場合にはアクセルを素早く「キュッ」と1/5回転開けてみましょう。
それで「息付き」したら薄いのでちょっと締めてやって、適当に調整します。
暖機前後でアイドリング付近の燃調もまた変化するので、安定した所を
選んでやります。
アクセル中開度まで開けた時、「もたつき」や「バラつき」が無く、スムーズに回転が上昇するか
チェックします。この時、主に調整するのはジェットニードルのクリップ位置で、
濃い方(5段目あたり)から薄い方へセッティングを出していきます。
(薄いのから始めると焼き付きを起こすため。)
この時、一旦プラグをチェックしてみましょう。
キツネ色〜やや白色なら合格です。
これも濃い方から薄い方へとセッティングを出していきます。
この時、高回転でセッティングが出ても、中低速側に影響が出てくる事があるので
再び中低速のセッティングを煮詰めます。
セッティングを繰り返すうちに、ここがベストだ!というセッティングが出てくるはずです。
ちなみに、セッティングのデータはきっちり取っておきましょう。
恐らく、きっちり燃調がとれたなら低速から高速までパワーの谷間がなく
きれいにエンジンが回ってくれると思います。
(改造の方法によってはパーツの相性が悪いこともよくありますが:笑)
この時、再び(というかちょくちょく見てやらなければならないのですが)
プラグをチェックします。ベストセッティングなのに黒かったり白かったりすると思います。
その時は、エンジンの燃焼温度に合ったプラグを入れてみましょう。プラグが白ければ番数を上げて、
逆に黒ければ番数を下げます。
セッティングが出たあと、走り続けると、熱ダレ(エンジン温度が上がりすぎてパワーが下がること)
が起こることがあります。このような時は冷却系を強化するか、少し濃くして温度を押さえたりします。
そのまま走ると焼き付きを起こすので要注意。
まず、上の図を見ると、エンジンから混合気を吸われる為に、圧力P2が下がります。
しかし、フィルタ側圧力P1は大気圧に近いので「P1>P2」となります。ここで、
圧力差が生じるのはスロットバルブが存在するからで、この周辺の機構を「ベンチュリ部」
と言い、ここで負圧が生じてガソリンが吸い出されます。
ところが、この箇所での流速Uもまた圧力に影響を及ぼすのです。
流速Uが早くなると、スロットバルブ直下の圧力が下がり、燃料が多く引き出されます。
要するに「社外エアフィルタ」や「ボアアップkit」装着により、ここの流速が早くなる訳です。
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