YAESU FTDX-9000 を斬る

                                        2006/9/19


  
  
    今回は一体何を始めるのか?という質問が飛んできそうだけれども
    何も迷わず、「FTDX-9000 contest」を私なりに見て見ようというもの。
    ICOM IC-7800について書いたときは、「お前!何かいてるんだ?」
    というローカルのお言葉。 でも隠し事ない記事がとっても良いよなど
    ご意見を頂戴しましたが、やっぱりメーカーが自信を持って出している
    以上、みんな聞きたいよね! さあ、2年半ぶりに行ってみよう!

   <購入経緯>
    FTDX-9000が世の中に出てきたとき私は、IC-7800をICOMが出したため
    慌てて出てきたものと私なりに判断していました。
    それはなぜか? 
    まさにそれは、「YAESUの無線機に悉く裏切られまくったから」というのが
    正直なところであります。
    FT-1021X(友人から借りているもの)、FT-1000MP(2週間でNG)。
    FT-1000MP/MK5 (2ヶ月でNG)。
    YAESUのファンからは、何なんですか君は!とお叱りを受けそうですね。
    あっそうそう、FT-1011 コレは大学から帰ってきて初めて買ったRIG.
    今から思い出しても、あのときTMTサービスの前で入札制でね。
    みんな、FT-1021Xばっかり持っているメンバーばかりなのにみんな躍起に
    なって入札だ!なんていじめてさあ。
    結局、皆さんのご好意とTMTさんのご好意で僕が購入者になったわけで
    あ〜懐かしいなあ。
    でも、今から考えると、このトランシーバー結構明瞭度が良かったのかも。
    
    
<FT-1000MP>

    KENWOODのオーディオにはとても勝てるようなものではなかった。
    特にサーというノイズ。私なりに言うところの「霧が掛かったような膜が
    メインの信号をカバーしてしまい、メインの信号が前に出てこない!
    困ったものだった。
    それに加え、今外国のDXを聞いていても、DXをやっていてエキサイターを
    聞く前に、1000MPだというとびっくりされたことも何度もある。
    オーディオの好きな周波数帯域を耳でわかる人ならば、一目瞭然である。

    「土管のなかで、CQを叫ぶ!」

    私の先輩はこのように言われ、う〜ん納得って感じですよ。
    送信の音は尚更のこと、私の持つ声の周波数帯域には合わなかった。

    しかし、受信に関してはそのサーっといういわゆるヒスノイズの軽減は
    外国の方のアイデアを頂きやってみると、見事にヒスは軽減された。
    しかし、オーディオの域での変更ではないことを添えたい。
    この変更を数人のDXサーに施したが、ローバンドのDXサーは全員が
    この変更が著しく顕著に向上したことを伝えてくれました。
    これを、FT-1000MP/β とでもしておきましょう。

    
<今までのYAESUに対するイメージ FT-1000MP MK5>

    やはりこの機械が出ると興味身心であった。
    
    結果は、NG!  何にも受信の改善は見られない。
    DSPだけでなく、アナログにしてみても受信の透明度がない!
    何なんでしょうね、あの膜の掛かったあの後ろにひしめく邪魔者は。
    SHIFT/WIDTHでごまかしてみても何にもならない。
    
    このとき、IC-756PRO3も貸していただき比較をしたが、MK5よりPRO3
    の方がまだ良かったと思う。
    とにかく、何かが邪魔をしている。 何なんだろう?

    ここまで裏切られて、FTDX-9000と言われても「もう、いいや」って思う
    のが当然でしょ。 

    
<FTDX-9000との出会い>

    WDXCのお2人の方には、この2台も含めて大変お世話になっていました。
    いろんなわがままにず〜と付き合ってくださって。
    KENWOOD党の私だとわかってお付き合いくださるのだから、頭にきて
    おられたことだろうと思う。
    私の意志が伝わらずにもんもんしていたのも確かだった。
    そんな折、3年ぶりに2006年ハムフェアーに行くことになる。

    K氏と最初に会い久しぶりですねと言葉を交わし、「最近、電話くれないから
    どうしちゃったかな?なんでかな?って心配してたんですよ。」と言って貰い
    こんな若輩もので暴れん坊なのに覚えてもらって光栄だなあと思った。
    
    そこにFT-2000が出たんでしょ、見たいんだけど。
    って話すと、わかりました・・・・・・・といって深海さんにはFTDX-9000を聞いて
    いただきたいと案内をされて1時間。

    中の話の内容は、流石の僕でもここには書けない!! ごめんなさい!

    ということで、前説は抜きに行ってみようじゃないの!!

    聞いてみると、いつもの2.4K〜2.7Kくらいの狭い音。
    ありゃりゃ、やっぱり一緒か。駄目だね。と思いながらシートに座る。
        
                    あまりのショックで眠たくなった! 9/15ここまでね。
  

                                      2006-9-16(土)
    Good morning。
    歳をとっても子供が遠足に行くようなもの。
    新しいものがくると、早起きなどココ最近したことが無いのに4時の目覚ましを
    1分前に止めてしまうのだから、頭の中どうなってるんだろう。
    さて、そろそろFTDX-9000のお話を始めましょう。
    視野性やボタンのフィーリングなどには時間があったら後に触れてみたい。
    とにかく今回は悉く「受信」にこだわりたい。

    
<受信をしてみてのフィーリング>
    まず、お話をするがこれは個人の感性のもとお話をするということを忘れずに
    居ていただきたい。 個人の志向からみたこの機械である。

    ハムフェアーのときからであるけれども、まずはあれ!何で!という驚きから目が
    輝いた。 「静か」ということではない。 
受信音の透明度が違う。 
    なんじゃそりゃと思われるかもしれないけれども僕にとっての第1印象であった。
    
    透明度>>YAESU愛好者の方にお話を聞くといつもおっしゃるのが、「聞きやすく
           耳が疲れない音が好きだと。
           しかし、それでDXの小さな信号をつかめるのだろうか?というのが
           KENWOOD党の私の今も抱えている疑問。
           小さな信号に対して、今までのMPシリーズのような音では復調は
           極めて難しいのではないだろうか?
           
    今までICOMについても書いてきたが、薄っすら膜が掛かったようなものは排除
    出来ていない。IC-7800についてもそうであった。
    混信除去装置なるものは、私は全部外して受信をしてみる。それが本来その機械
    がもっている最高のパフォーマンスを引き出すからである。

    とにかく違う!違うぞ、この機械は。
    
    と書いてしまえば、そんなに凄いのか?という話になるがここは斬る!ということ。

    
<実際のDXで使用してみて>
    さて、ここからですね〜。
    実際のDXでデフォルトの状態で使用してみますと正直に「何も変わっていない」
    ということに気付きます。音域、オーディオ、バックのノイズといい何の変化も無い!
    ということ。
    
    さて、こんな高い機械を買ってどうするのよ! 
    毎回、そうなんですがここから如何にKENWOODのTS-870に近づけるかをやるん
    です。
    ここまで書くと先輩に「これじゃあ、まるでTS-870が最高の受信性能って
    いってるようなもんじゃん」 というお言葉を頂戴する。
    しかし、1回聞いてみて欲しい。
    受信をしていて、バックグランドより前に出てきて、DXの命である一瞬のピークを
    逃すことはない。 CQDXをやっていて自信を持ってスタンバイ出来る機械である。
    あるとき父の友人である2エリアDX’erの方ともお話が出来た。
    ICOMも持っていらっしゃったが、やっぱりTS-870良いよねという答え。
    今、ここまで書くのもこれだけ真剣に向き合っているからだと思っていただきたい   
    のです。 
この時点までは・・・・・・・。

     昨今、KENWOODが本格的 HFトランシーバーの製作(TS-870以降)から撤退した以上、
    求める(すがる)のは、2社しかないのである。 
    IC-7800を聞いたとき、お〜KENWOODに近いと思ったが、突き詰めるとやはり私の
    耳の音域を満たしてくれなかった。
    YAESUは特に酷かった。 開発はどうなってんだ? どんな音を求めてるの?と
    本当に会って話をしたいと思ったほど。

    YAESUの言い分はいつも 「通信機としてなんら問題のないレベル」 と回答される。
    測定器を使っても全然問題ないと思いますが。
    でも、このわがままものの注文に毎回 WDXCの方は親切に対応してくれた。
    しかし、何度話をしても時間をかけて音の話をしても最後には、

    「や〜深海さんのお話されてることがよく理解出来ません。おっしゃってる意味が
    漠然としているというか、や〜わかりません」 の返答。
   
    こんなことしながら、も何年YAESUと向き合ってるんだ。
    周りからは、「もう合わないんだからさあ、諦めたら」 と冷たくされる。

    こんなときにハムフェアー2006で出会ったのが、FTDX-9000だった。
    先ほど透明度、と書いたが何よりもヒスノイズが極めて少なかったからだ。
    何の混信除去装置も必要としない受信機。 まさにコレだった。
    送信音だなんだとは今の僕にはどうでも良かった。

   
<ココでの疑問>
    ここまで書くとほとんどの人は、「それならTS-870を使ってりゃ良いんじゃ?」
    といわれることはわかっている。 其の通りなんだから。 核心だ。
    でも何で離れなきゃいけなくて、ICOMじゃないのか。
    
    それはひとえに 「電波の質」 に関係がある。
    TS-870は何故か他の方々からサイドが汚いと非難される。 何故だろう?
    確かにリニアAMPのGRIDをガンガン流しながらオペレートすればどんな良い
    機械であっても電波の質は最低だ。
    でも本当にサイドは広がるんだよなあ〜。

 

    さあ、ここで書かせていただきたい。   
    ここまでは、KENWOODが最高だと言っていた、この私に
衝撃が走るのだ。

    実は、WDXCのK氏とは「今回本気でぶつかるつもりで話し合いをした。
    でも本当に漠然としたこの状況では、何も伝わらない。
    ならば、どうしようと考えた。
    国内に限らず、世界の情報に目を向けた。インターネットで情報も求めた。
    それも10年以上の歳月を費やしてきたのである。勿論予算も・・・・・。

    そんなとき大きな偶然の出会いをすることになるのです。
    個人情報もあるので詳しいことは抜きにして、JH1S** Kさんとの出会い
    があった。この出会いは本当に私に全ての迷いをあっという間に取り除いて
    もらうことになるのである。

    あるホームページの情報を教えていただいた。
    私からは次のようなメッセージをお送りしました。
 
    「実は、KENWOODの機械をずっと愛用してきまして、 YAESUのFT-1021
     から、FT-1000MK5に至るまで機会があり手に入れることが出来ました。
     私は7MhzにおいてDXで使用したいわけですが、 受信の音域がどうも自分
    の耳の音域に合わずにずっと悩みつづけているのが現状です。
     他のYAESUのDSP機も使用したのですが、どれを取ってもどうも詰ったよう
    な音が私にはどうしても 納得できないのです。
     AF回路の変更について教えていただけないでしょうか?」

    というメールをお送りいたしました。
   
    返信の中には、私も同じように思っていました。というメッセージが添えられて
    いました。初めて自分の思いを共有し、またこのコレを打開する資料をお持ちの
    方に出会い、本当に安堵に浸りました。
    そのあと、ご丁寧に箇所を教えていただきました。

    このあとは自分との戦いですよね。
    
    教えていただい情報をもとに、メスをいれました。
    まずは、FT-1021にメスを入れたのです。

    もちろん、この改造は抵抗やコンデンサーを多種類用意してのカットアンドトライ!
    まさに、気の遠くなるような作業でした。
    でもココだと信じ、手をいれました。

    @ まずは
アクティブLPFのカットオフの周波数にメスが入りました。
      このポイントは私がず〜〜〜〜〜〜〜〜と言い続けてきた帯域の狭さ、
      窮屈なYAESUの音というポイントを大きく変えてくれました。
      とにかく最初は極端に変更しました。
      あ〜違いがわかるよ。わかる、わかる。
      そんな思いで定数を変更しました。
      勿論、私は、7MhzのDXが好きですからその時間に定数の変更を行わないと
       いけません。DXをなさってる、へっへっへ、JA0PI 佐藤さん。
       本当にこっそりですが、お世話になりました。 PIさんのDXを聞きながら
       定数の変更(ハンダつけ)をして、MDに録音。
       あとからでもソノ定数変更により、音域の変化を聞けるようにしました。

    A つまりが幾分か解消されたことが確認されると、今度は音程(オクターブ)
      にメスをいれました。
      このポイントは何気ないポイントかもしませんが、メインの信号とバックノイズを
      分離するためには、必要不可欠なポイントなのです。

      同じように大げさに変更しました。
      DXを聞いてみると案の定、低域が強すぎて復調しずらい。
      ではと、定数を変更しながら追い込んでいくのです。

      出来た、コレだ! コレが求める音だ。これならという資料をつくりました。


      
<DX-9000への要求>
     初めて明らかな自分の要求を定数にしてあらわすことが出来た。
     しかし、これを伝えたときもやはり測定器上の問題なさをおっしゃった。
     でも私は、この改造が第一に自分にとって、そしてKENWOODのオーディオを
     好きな(どちらかというと)方にとっても僕は最高のパフォーマンスを提供できる
     と自信をもってお勧めできるだけの自信を持った。

     WDXCにこの改造ポイントを伝えたとき、
     「わかりました、どうなるかはわかりませんがとにかく1度やってみます」
     との回答を頂いた。 (あ〜というため息が出たことは言うまでもない)
     
     1週間後、WDXC K氏からの電話に本当ににんまりだった。

     「深海さんお要求どおり仕上げてみました。どうなるかわからなかったのですが
      あ〜こんなことを求めていらっしゃったのかと初めてわかりました。
      測定値(紙面上)だけではわからないポイント、測定器ではわからないポイント
      が実際に改造をして、あ〜良いなあって思いました。
      これから設計の人間にも伝えようと思います」

      とおっしゃってくださいました。。

     1人1人が個人の感覚があると思うのです。間違いありません。
     しかし、今のYAESUの受信の設計ではフロントエンドがどれだけよくても重要な
     帯域の肩を落とし過ぎなのだ。
     「通信機として」という意味はとてもよくわかる。
     でも聞こえないのではなく、聞こえにくいのだ。

     もし、この改造によって救われる人が居るのであれば是非是非お願いしたい。
     この改造というよりもアクティブフィルター肩を是非広げて欲しい。
     そして、自分の耳でこの肩の中で信号をチョイスしなければいけないと思う。
     昨今、DSPという機械が登場し、今までのアナログの帯域とは違った音声配分を
     もっている。
     わたしが思うに、この受信しにくい音域を作った最初の機械は、FT-1000MP だと
     思っている。これは世界中誰が出ても、直ぐにこちらから推測できる。
     ほぼ、間違ったことはない。
     これは送信の帯域にもこのこだわりがあるのだろうと思う。
     でもこれを一概に否定してはいけないということもわかった。
     送信の質を伴わなければいけないからであろう。

     しかし、少し騒がしく聞こえるかもしれませんよと、WDXCのK氏はおっしゃった。
     でもそれはKENWOODを使っている私にはごく当たり前のことで、そのスー音は
     WIDTH/SHIFTがノーマルとは全く違うパフォーマンスを示し、如何様にも音を
     オーディオ域で作れるのである。
     まさに、これが自分の求める究極であったというより今は最高の受信機を作り
     あげた喜びで一杯なのだ。

     インターネットを検索すると次のようなことが書かれている。

     「FTDX-9000は強いQSBをともなう信号を拾うことが実に難しい!」

     とかかれている。まさに、その通りなのである。これに気付かれることこそ、
     受信との戦いの一歩なのでしょう。

     
では、どれだけ違うのかを画像で見てみることにしよう (WDXC提供)

     
     
     

     上の写真はFTDX-9000のノーマルの写真(オーディオ特性)である。
     そして、下の写真が今回JH9TYT用に手を入れて測定したオーディオ特性である。
     4KhzでCUTされているのは、DSPの帯域が4Khzであるため。
     以前、MARK-Vのときに私はこの広域に問題があるのかt思って改造してもらった。
     しかし、なんの改善もみれれなかったPOINTである。
    
     しか〜し、赤の丸で囲まれた部分を注目してもらいたい。
     100hz〜50hzの帯域で、約8dbも落ちていることがわかる。
     このPOINTはメイン信号とバックのQSBを分離するためには大きなPOINTと私は位置づける。
    
     低域が出てこないために頭の上のところでフワフワと浮いた信号ばかりが耳につく。
     つまり、キンキンもしなくモゴモゴもしない、疲れない音。
     国内QSOにはもってこいの音つくりになるのではないかというのが私の考えだ。

     そしてこの違いを耳で感じられるのか?という質問を受けるとしたならば、私は間違いなく
     ノイズレベルぎりぎりで勝負しているDX’erならば間違いなく判別できることだろう。
 
     そして、この新たなYAESUのJH9TYTカスタムバージョンは初めて納得できる1台となって
     くれるに違いない。実際、今はTS-870の電源を入れることがなくなったのは事実だ。
     それに初めてDXをしながら、YAESUの機械だと自信を持って言えたことは何よりの喜び
     なのである。

     実際にWDXCとともに改造をしたPOINT以上に改造を加えてある。
     このβバージョンによって最高になったといって間違いない。
     ここでポイントを書いてしまうことは(回路図を載せること)たぶんいけない事だと思うの
     でそれだけは書けないのであしからず。

     また音声の録音もしてみた。
     FTDX-9000とTS-870の2台を切り替えて受信している。
     KENWOODの何名ものKENWOODユーザーにデータをお送りしたところ、全く遜色つかず
     「ありえないだろ、YAESUでこんな音出せるの?」という返事ばかりであった。
     是非、聞いていただきたい。そして、ご意見を頂きたいと思います。

     今後は送信にもメスを入れたいが、まずは本当にココまで出来たんだという喜びに
     浸りたいと思います。
    
     WDXCのK氏、またこの思いに最大限のご協力をいただいたTMTサービスには感謝感謝
     でこの報告をしたいと思います。 ありがとうございました。

     今後は送信のIMD測定、バイアスの掛け方で(何%のバイアスを掛けて)IMDがどうかわるか?
     本当にFETの石が熱で飛ぶのか?などと恐ろしいことにまだまだ挑戦したい。

     ただし、スペアナはJA9PGの持ち物のため、親父が旅行に行かないとNG!
     だれか遠方で、飲み会!といって誘ってくれないかなあ? そうすれば天下でスペアナ
     さわれるのになあ!  どなたかよろしくね。