ご覧になる前に大事なお願いがあります。
         

 おわら風の盆についての由来等については、いまさら細かくここで説明するつもり

は、ありま
せんが、知っておいてほしいことがいくつかあります。なせ゛なら、『おわら

風の盆』は他の民謡
とは異なり予備知識がないと、理解できない部分があまりに多

いからです。それは

  1.この行事は基本的に屋外で行われるものであり、実施の可否は天候次第

    によるもので
す。たとえ小雨であってもすぐに中断,中止となってしまいます。

    なぜなら胡弓や三味線
は雨に濡れると胴の部分の皮が、はがれてしまい使

    用不可となるためです。
 『編み笠はかぶっても、雨傘はいただけない』行事

    なのです。

  2.おわらは、ムードで楽しむといっていいでしょう。それは踊り手、地方と言わ

   れる楽器や
歌い手はもちろんのこと、それを聞いたり、見たりする人々すべて

   の時空がひとつになり
そこに狭い町並みと、ぼんぼりや緩やかな坂、かすか

   な風の音、虫のこえ、月明かりな
どの自然が一体となった時に、もっとも素晴

   らしく感動します。

   ですから屋外の町全体が
おわらの舞台であるといえます。

  3. 楽器は生音が基本です。狭い町は楽器の音を反響させ、白塀の家の構

    造や雁木、
入り組んだ間口など音響効果抜群です。三味線の音は一本で

    も十分な音量があり、
胡弓は、その音色がすすり泣くような高い音なので、

    いっそう良く通ります。静寂な時間
帯では300m以上離れていてもその音色

    は、聞こえてくるのです。

    ですからおわらには
静かな環境が用意できるか否かがもっとも重要です。

  4. おわらは、動と静の日本人文化の根底にあるものを、くすぐる要素を備えて

     いる芸能と
いえます。つまり、人間の表現する、しなやかな手踊りや体の動

     きに対して、繊細な三味
の生音、かぼそく澄んだ胡弓の音色は、静かな町

     並みにのみ、その真価を発することが
出来るものなのです。

  5.  おわらは、形を気にしています。つまり、ただ踊ればいいとか、歌えばい

     いとかではなく
、どのような隊形で町流しをするとか、舞台踊りの形態を組

     むとかなど、どうすれば美しく
きれいに表現できるかを常に考え、あくまで

     主役(町の人)中心に進められています。

      ですから、見学するといった言葉が適当かも知れません。町流しや輪踊

     りの形を崩さな
いように、周りの人が協力するしかありません。

  6.  おわらには、聖域があるのです。おわらは形を気にしているといいました。

     これは、大勢
の人ごみの中では、形を維持することはなかなか難しいので

     すが、少し人も減ったときと
か、静寂な中で流しが行われているときに、その

     形の中を通過したり(横切る)することは
その形(聖域)を壊すものであり、

     雰囲気が壊れてしまいます。踊り手も地方も真剣その
もので、それに取り組

     んでおり、集中しなければ続けられないのです。

     ですから、ときおり休憩があるのも、それを癒すためといえます。

  7. おわらには、いろんな形があります。まず、

      @
踊りです。各町ごとに少しずつキメの所作が違いますね。

        注意深く見ていただければ分ると思います。

      A
地方のテンポ(速さ)です。深夜の夜流しでは時間や雰囲気で違ってき

        ます。その時々でその場にあった速さに自然となります

      B
歌い手が優先されます。三味線と胡弓はだだ歌い手が歌いだすのを

        待ちます。

        歌い手はどこから歌いだしても良く、気持ちが入るまで雰囲気を大事

        にし、自分に思い込んだ詩を歌いだします。(踊りなしの夜流し時)

  8. おわらは、
静けさを楽しむ美しい行事です。

     八尾町には【動と静】の要素がある芸能があります。動きが激しく賑やかで

     豪華な『曳山祭り』。(5月)

      そして静かで優美な『おわら』です。私はおわらを『祭り』と呼ぶには抵抗
    
     があります。

     総じて日本の祭りとは賑やかで鳴り物や横笛などのお囃子があるものが

    『祭り』ではないで
しょうか。本番に配られるチラシをご覧ください。

    発行元は《おわら風の盆
行事運営委員会》となっていますね。

  9.  まだまだ、書き足らぬ事柄がいっぱいあるのですが、追々書き足すこと

     と致します。