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それから数日間、俺たちは今まで働いてきたお金を使って遊び倒すことにした。今まではほんとうに働いて生活することだけを考えてきたからこの世界のことについての文化だとかにはまったく触れていなかったのだ。 「カカシ先生たち遊びすぎだってばよっ!!」 ナルトたちは俺たちの準備が整うのを待っていたらしい。ま、ナルトたちが来てからもう一週間は経ったからな。里の方でもさぞや気を揉んでいることだろう。なにせ火影が不在なんだからなあ。 「ところでその荷物はなんだ?里抜けする時もそんなに荷物が多かったのか?」 サスケのツッコミにナルトが荷物を見て顔を硬直させた。 「これ、なんだってばよ?」 「あー、いや、土産だ。」 イルカさんが苦笑して言った。 「どこの世界に里抜けの土産を買う奴がいるんだってばよ。」 「ここにいるだろ。大体大人になったら人付き合いってのは大切なんだぞ?お前も火影になるんだったらその辺りをもっと勉強しとけよ?」 偉そうに言ってみたがナルトは遠い目をしてわかったってばよ...と呟いた。ま、若いんだからがんばってくれよ。 「じゃ、長谷川組に行くか。まあ、大丈夫とは思うが手のひら大のおかしな筒状の武器と対峙したら極力使用させないように使用者を眠らせるかして使わせないようにな、なかなか危険な武器だ。」 俺が言うとナルトとサスケは頷いた。ちなみに今は夜だ。寝静まった所で実行する。 「おい起きろよ馬鹿息子。」 そいつは最初寝ぼけているのか、俺たちを見てにやにやと笑った。丸腰で4人の相手と対峙したら普通ここまで強気じゃないだろうなぁ。 「お前らおしまいだぜ。俺の親父がお前らを殺すことに決めた。今度会う時はお前らの死体とご対面だぜ。」 ほう、そこまで話しが進んでいるのか。なかなか決断のお早いことで。 「それは良かったな。ま、どうでもいから一発殴らせてもらうよ。」 俺は死なない程度に力を加減して馬鹿息子の顔を殴りつけた。そいつは吹っ飛んでいった。そして壁にドンっと大きな音を立てて叩きつけられるとその場に崩れた。そしてあまりの痛みに呻いている。これで夢じゃないとちゃんと理解してくれればいいんだけど。 「こいつ、カズさんを蹴り殺した奴なんだろ?自分は殴られたことなんてなかったのか。」 ナルトの言葉に俺はそうだろうな、と頷いた。殴られて痛いと言う感覚はやはり大切だ。 「さてと、んじゃあサスケ頼むな。」 サスケは頷くと万華鏡写輪眼を発動させた。確か月読は2.3分かかるはずだが、今回、精神崩壊までは陥れないというある意味細かい作業なので時間がかかるとのことなので10分ほど時間がかかることになっている。 「おいナルト、お前はサスケを護衛してろ。俺たちは周りの奴らを片付けてくから。」 指示するとナルトは頷いた。 「お前ら、この間来たやつらだな。どうやって入ってきた。仲間もいるのか。」 イルカさんと一緒に組員たちと軽く相手をしてやっていると荒木が現れた。 「あんたも大変だね。こんな馬鹿息子のために苦労して。」 俺はにっと笑ってクナイを取りだした。今までは素手で闘っていたが、荒木の手にはあの黒い鉄の塊が握られていた。こいつは武道の心得があるのかなかなか隙がない。 「組長の息子さんだ。苦労とは思わないよ。」 立派な忠誠心だ。 「ま、俺も里のために沢山殺してきたけどね。」 俺は荒木の目に向けてクナイを投げつけた。それを荒木は鉄の塊ではじき返す。だが俺はその間に荒木の懐に入って腹に蹴りを入れた。荒木は苦悶に顔を歪ませながらも気を失わずに片膝をついた。その間に鉄の塊の武器は没収して外の池に放り投げた。 「残念だったね、実践不足だ。」 「おいカカシ、終わったぞ。」 サスケの声に俺は荒木の前から立ち退いた。そしてこの間と同じようにみんなの手をつかんで瞬身を使った。そしてやってきたのはあのアパートである。 「さ、荷物を持って公園まで行くぞ。時空間忍術と万華鏡写輪眼の合わせ技はそこで行う。その前にもうちょっと寄り道するがな。」 俺が言うとナルトはまだなんか用事かよ〜、とぶうぶう文句言ったが結局荷物を持ってくれた。 「なんでかりんとうなんだ?」 サスケが不思議そうに聞いてきた。まあ、確かに花はともかくかりんとうのお供え物と言うのは不可思議だろう。 「ん〜、それはな、イルカさんとの愛の生活の上での甘い甘いアイテムだったと言うに留めておこう。ま、どんな妄想も現実には敵わんだろうがなっ!!」 ごつっと俺の頭にイルカさんのチョップが落とされて俺たちはその場を後にした。 「お前ら馬鹿かっ!なんでアカデミーなんだ。子どもたちがいたら怪我どころじゃ済まなかったぞっ!!」 イルカさんがナルトとサスケに拳骨を落とした。ああ、やっぱりイルカさんは先生してる時が輝いてるねえ。 「まあまあイルカさん、今は夜ですし、そんなに怒らなくても大丈夫ですよ。でも確かになんでアカデミーなんだ?」 言えばサスケはナルトを見た。どうやらどこに着くのかを設定したのはナルトだったらしい。 「だって、イルカ先生とカカシ先生ってアカデミーって感じだったから。」 ナルトが唇を尖らせてそっぽを向いた。 「お前ら、迎えに来てくれてありがとうな。」 ナルトはにしし、と笑っている。サスケはふい、と顔を背けている。 そして翌日、俺たちは火影執務室にいた。聞いた通り、ナルトは火影になっていた。と、言ってもまだ火影になって間もないので綱手様やら自来也様やらシズネ、ご意見番などが後見人のようなものになっているらしい。まあ、歴代で一番若い火影になったんだから仕方ないか。 「で、今回の里抜けでやっぱり先生たちにも名目上の処罰が設けられたんで言い渡す。」 ナルトは目の前の書類を見つつ話している。威厳がまるでないな...。イルカさんもはらはらしている。ナルトがんばれよ...。 「はたけカカシ、財産の1/10の没収。うみのイルカ、来年度までの教師資格の剥奪。あ、その代わりイルカ先生には中忍の普通の任務をしてもらうってばよ。」 来年度っつったってあと数ヶ月だから、まあ、軽い処罰だ。 「ところで俺の財産の1/10って具体的にいくらになってんの?」 「ん〜と、これだけだってばよ。」 ナルトは書類の記号を見せた。 「うあ、お前これひどくない?」 「カカシ先生、それでも残り9/10は残ってるんだからいいじゃん。金持ちのくせに意地汚いってばよ。」 「お前ね、俺の財産は金だけじゃないのよ?俺の所有してる武器、書物、株、土地、その他諸々含めての財産なんだから銀行にあるお金の1/3は持ってかれる計算なのよ?」 「え、そうなのか?綱手のばあちゃんそんなこと、あっ、」 ナルトは慌てて口を閉じた。やっぱり綱手様が関わっていたか。ナルトが金に関して意地汚いわけないもんなあ。こいつの賭博運は筋金入りだから金に困るってことがほとんどないって聞いてんだもんよ。里の収入だって今は安定してるってのに、金入なのは綱手様くらいなもんだよ。 「ま、いいよ。これで里抜けの処罰が済むってんなら安いもんだ。」 隣にいたイルカさんはその額に呆然としていたが、俺の言葉に表情を明るくした。 「カカシ先生にはすぐに任務に出て欲しいって依頼書が沢山きてるってばよ。サスケはもう任務に出てる。あいつは正当な写輪眼の使い手だからなあ。」 ナルトはそう言って窓の外を見た。遠征から帰ってすぐに俺たちを迎えに行ってまた任務か。ま、若い時は実践を積むのが一番の修行だ。 「仕方ないね、老体に鞭打ってがんばるとするか。」 はあ、財産の没収はちょっと痛い。あいつらの土産に買った酒は自分で呑むことにしよう。 「なんか、ほっとしましたね。」 イルカさんが穏やかな顔で歩いていく。 「ええ、これで俺たちも里公認の恋人同士になりましたしね。」 言うとイルカさんは顔を赤くした。言い逃れはできまい。 「あ〜、もう、職場の連中にからかわれます。あのはたけカカシと恋仲だなんて。」 イルカさんはぱんぱんと自分の顔を両手で叩いた。そんなにすると腫れますよイルカさん。 「ね、イルカさん。またこんなことがあったら、何度でも俺と里抜けしくれますか?」 言うとイルカさんはうーんと、考えるような素振りをした。 えっ、ちょっと待って下さいよ。俺たちらぶらぶでしょっ!? 俺が悲壮な表情を浮かべるとイルカさんはぷっと笑った。あ、酷い。 「冗談ですよ。ちゃんと付いていきます。きっと大変なこともあるでしょうが、俺はあなたに付いていきます。ずっとね。」 イルカさんはそう言って俺の頬に軽くキスをした。 「えっ、イルカさんっ!?」 驚いて硬直している間にイルカさんは瞬身で煙となって消えてしまった。 「あと2.3回、里抜けすればいつでも路上で抱きつきながらキスしてくれるかもしれない。」 そんな事を考えながら俺はイルカさんの待つであろう自宅へと向かって走ったのだった。 |
はい、と、言うわけでお疲れ様でした!!
三十路もとっくに過ぎた彼らにこんなリリカルに恋人っぽくしてもらってどうしようだとか思わないわけではないですがそこはほら、愛の力でなんとか克服してくださいorz
悲壮な感じがまったくしない里抜けもの...。
絶対こんなに甘くないしお手軽じゃないと思いますがまあ、最近らぶに飢えているということがご容赦ください。
色々捏造しまくってますが今更な当サイトのノベルなのでむしろ開き直りの感すらいたします!