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どれほどの時間が経過したのだろう。 「カカシさん、すみません、俺、意識を失ってましたか。」 「うん、よく寝てた。疲れてたんだね。大丈夫だからね、すぐに、元に戻してあげるから。」 カカシさんは何か黒く光る薬のような玉を取り出した。黒い真珠のような美しい宝玉だ。見たことの無いものだ。 「これは?」 「イルカ先生のものだよ。ちょっと飲みづらいだろうけど、一口で飲んでくれる?飴玉を間違って飲み込む要領だよ。水もあるからね。」 カカシさんは竹筒を手に持っている。俺を斜めに抱えるとその黒い玉を口に持ってきた。 「カカシさん、すごい顔色ですよ。身体、しんどいんじゃないですか?」 「イルカ先生、今はあなたの身体の方が心配だ。これを飲んで、お願いだから。」 疲労回復の丸薬だろうか。俺は素直に口を開き、玉を飲み込んだ。結構な大きさで喉が苦しい。カカシさんはすぐに竹筒の水を飲ませてくれた。そして俺はようやく飲み込むことができた。 「結構な大きさのものでしたね、カカシさんの特製ですか?」 「ええ、俺が作りました。成功して良かった。本当、に。」 カカシさんはそう言って俺の上に覆いかぶさってきた。 「カカシさん?重いですよ。もう、寝てるんですか?まったく、あんたはいつも無茶ばかりだ。少しは休んでください。俺が、ずっと側にいますから。例え、」 そう、例え、子供がいなくなったとしても。 「ごめんな、ごめんなあ。父ちゃん、失格だったなあ。でも、お前のこと、忘れないからな。寂しくないからなあ。」 カカシさんをぎゅっと抱き締めたまま、俺はしばらく涙を流し続けた。 その後、カカシさんはしばらく面会謝絶の入院生活を送ったが、無事に退院して俺たちはまた2人で暮らし始めた。 求めてやまなかった優しい時間が過ぎていく。季節は移り変わり俺もカカシさんも年を経てかつてのような激情を伴わずとも愛情は深く根付いていく。 ある夏の終わり、縁側で夕涼みをしていた俺たちは、何の脈絡もなく聞いた。 「あなたがあの時震えていたのは、何を怖がっていたんですか?術の失敗?それとも自分が行うおぞましい術に怖気が走っていたの?」 俺の言葉にカカシさんは驚くでもなく庭先を見つめた。青々とした草花がわずかにぬるい風に揺れている。 「今でも怖いよ。あの時ばかりじゃなかった。俺はあんたを失うのが一番怖い。あんたの心が壊れてしまうのが怖かった。でも隠し事はできなかった。俺を選んでほしかった。壊れずにあの子供の死を受け入れることはすなわち、俺への愛の方が深いと言うことだから。それが覆されたらと思うと今でも怖くて仕方がない。どんな敵を前にしても震えなど来たことのない俺があまりの恐怖に自尊心をかなぐり捨ててすがり付いてしまうほど。」 カカシさんはそれだけ一気に話してしまうと視線をこちらに向けた。 「初めてだね、あのことを話に持ってくるのは。もしかしたら忘れたのかと思ってた。」 「それはありえませんよ。あの子は今でも俺の子ですから。カカシさんが受け入れなくとも、あの子は俺とカカシさんの子でしたから。」 俺は小さな盆に乗っていた冷えた麦茶を口に運んだ。いつの間にか喉が渇いていたのか、冷たいお茶がからからに乾いていた喉を潤わせていく。 「俺も、忘れないよ。敵の作ったまやかしの子供でも、イルカ先生の産んだ子供だから。それは俺にとっても愛すべき子供だったよ。信じてもらえないかもしれないけど、俺は、俺はあの子を、この手で、」 俺はコップを置いてカカシさんを抱き締めた。 「愛してます。愛してますカカシさん。この命はあんたのものです。あんたが救ってくれた命です。ですから、どうかこれ以上自分を責めないでください。」 彼を責める者なぞいやしない。彼の孤独を、不安を取り除くことができるのならばなんだってする。 おわり |
はいそんなわけでお疲れ様でしたっ!!
っていうかほんっとすみませんこんな話書いてすみませんここまで読んでくれた方きっと勇者だと思ういやいっそ神だねっ!!
あの、私子供、嫌いじゃないですよ?昨年生まれた姪っ子めっちゃかわいい思ってますよ?(泣
それに、たぶんですが、ちゃんとカカイルに愛もありますたぶんですが、ええ、たぶんですがねっ!!
しかし暗いっすね、実は最初ギャグ路線で書いてたんですが基本設定がどうしてもカニバリズムだったんでどうにもちぐはぐして変更したとかそのあたりもういっぱいっぱいですお察しくださいませな感じでこんなんになりましたorz
次回こそは明るく、ね、明るくいきたいものですははorz
ほんと読んでくださってありがとうございました!!