それはイルカ先生と付き合う前だったんだけど、俺はその時ある任務を受けていた。調査依頼だったのよ。最近里で不審な心臓発作で死ぬ人が増えてきた、その原因を究明せよってね。

俺は調べたね、ありとあらゆる方法で。そして見つけた。なんだったと思う?
ビデオテープだよ。そのテープを見たら一週間後に死んでしまうらしい。
馬鹿馬鹿しい、俺はその時超科学だとか心霊現象だとか、つまりそういったことをまったく信じてなかった。だって目に見えないからね。
俺はさっそくそのビデオを見たよ。どんだけ不気味なもんが映ってるのか期待もしてたけど、大したことない、映像を張り合わせただけのつまんないものだった。
ほら、俺って暗部だったでしょ、人間の醜い部分とかさ、色々見てきたからまったくそんなもの怖いとかは感じなくて、って、そんなこと聞いてない?はいはいサクラ、分かりましたよ。
それでとりあえずテープに映ってた映像を一つ一つ分析していったわけだ。そしたら色々やっぱり分かってくるわけでさ、そのテープに映っていたのは過去に木の葉に恨みを持ちながら死んでいった人物を指し示すものだった。
それからその人物に関係していた人を探していったけど、そいつら、なんでだか俺と会う直前だとか会ってすぐに死んだりとかしちゃってね、さすがにここまで来ると偶然とは思えなくなってきたね。
薬でもないし忍術でもない、そういうものが存在してるってことを理解したのはテープを見て6日経った頃だった。
このままでは自分も殺される。助かる方法は今のところない。
どうしたものかとさすがの俺も困り果てたね。でもとりあえず調べたことは火影に報告するべきだと思って報告したのよ。テープを見なければ呪われることもないみたいだから報告しても相手は安全だってことは分かってたからね。俺ってなかなかいい奴でしょ?え、うざい?サスケ、お前ってかわいくないねー。
俺が明日には取り殺されるんで死体処理よろしくお願いしますね、なんて空元気で笑っていたら火影は叱りとばしてきてね、そういった事情が関わっていたのならば最終兵器を今夜向かわせると言って俺を部屋から追い出したわけよ。
どうやっても呪いは解けないはずなのに最終兵器?坊さんでも連れてくるのかと思ったね。でも今まで関わってきた坊さんもみんな不可解な心臓発作で死んでたから来るだけとばっちり受けるだけだから来たらすぐに追い返そうと思ってたんだけど、え?そう、そこでイルカ先生登場ね、なかなか勘が鋭くなったんじゃない?ナルト。
それで夜になって普通の中忍がやってきた、つまりイルカ先生ね。どうやら火影から手紙を預かってきたらしいので、俺は彼を中に入れた。手紙を読んだらすぐに帰すつもりでね。
でも手紙を読んだらこの人が最終兵器って書いてあるわけよ。しかも色々と制約まであって、この者に事実を告げるなとか、決して意志に逆らうなとか、手を出すな、とか、まあ最後の部分は後で破っちゃたけどそれ以外はちゃんと守ったね。あっ、ちょっとスプーンを投げないでくれるかなサスケ君。
それでとうとうその夜、こうなったらもう俺も吹っ切れちゃってね、その人と共に最後の夜を酒宴でカンパーイってわけで酒浸しになってたのね、あ、そこ、呆れない!
そんでしこたま飲んで真夜中、俺はテレビからザーザー音が出てるのに気が付いたのよ。
電源消し忘れたかな?ってんで見てみたら丁度画面が普通に映ったのよ。その映像はどこかの屋敷の牢屋みたいだった。そこの戸が開いてね、中から女が出てくるわけ。赤と黒の着物を着た女で、長い髪で顔がまったく見えなかった。それがゆっくりと歩いてこちら側に来るのね、そう、カメラ側って言うのかな。
どんどん近づいてきて、顔がカメラにぶつかる!?と思ったらなんとね、その女が画面から出てきたのよ、そう、俺の家のテレビからにゅ〜と這い出てくるようにね。
さすがの俺も呆然としたね。
そしたらいつの間に起きてきたのか最終兵器の彼が俺の横に立ってたのよ。
そんでなんて言ったと思う?
その術もう一回やってみせくくださいっ!ってそりゃあもう興奮して言うのよ。彼、どうやらその女がものすごい術を使ったんだと思ったらしいのね。
そんで女はその気迫に押されて何度もテレビの中とこっちとを行ったり来たりしたわけ。
ん?以前に霧隠れの抜け忍が水たまりから出てきたことあった?ああ、確かに同じように見えるけど、でも全然違うよ。だって考えてもみてよ、テレビに映っている画像から動いてこっちに行ったり来たりするんだよ?さすがにちょっと普通の術じゃできないんだよね。
まあそんなわけで彼は彼女をもうこれでもかと褒めちぎって感動しました感激しましたすごいですすごいですってなもんでさっきまで飲んでた酒の席にまで連れてきてどうぞどうぞと酒を勧めるわけ。
女もね、やっぱりその気迫に押されて缶ビールとか、勧められるだけ飲んでいくのよ。
え、そいつ飲み物が飲めるのかって?うーん、俺もよくは分からないけど、でも体が透き通って飲み物が床にぶちまかれたわけでもなかったから、飲める奴もいるんじゃない?
それでとうとう何本目か分からないくらい飲まされた彼女はもう失礼します、と引き留める彼から逃げるようにして玄関から去っていった。
それ以来、彼女の姿を見ないどころか俺はこうしてぴんぴんしてるし不可解な心臓発作で死ぬ人もぱたりといなくなった。
お、サクラはなんとなく分かってきたか?そ、彼の破魔の力は呼気によるものが大きいんだよ。彼の性格も手伝ってか、その話術と天然ボケ、それが相成ってよくない者を退散させるみたいなんだな。
ん?普通に忍術でやっつけてたこともあった?ああ、会話が成り立てる者においては、に限定はされるだろそりゃ。ちなみに彼の忍術も破魔の力が発揮するみたいだから効果抜群だぞ!?
ちなみにその後の調査でテープの彼女の遺体が屋敷の牢屋から発見されたんだが、白骨化してたのに死亡推定時刻が彼と酒宴をした日だって聞いてまた戦慄したね。だって酒宴をしたのは発見される一週間前にも満たなかったから。
ははは、どうだ、驚いたか?って痛っ、殴るなよサクラ、ああ、はいはい、俺が悪かったよ、涙目になるなって、お姉ちゃーん、白玉あんみつ追加ねー!

 

おわり

はいっ、と、言うわけでお疲れ様でした!
やー、怪談とか言う割りにはさほど怖くなかったですかね〜?(汗)
本当はエロとか入れたいなとか思いつつ、結局は入れられなかったので(だってほんのり明るすぎて入れられなかったんだよorz)
次回に期待、や、誰もしてないとは思いますががんばりたいと思いますっ!!
とりあえず夏に向けての夏っぽい話しでした〜。