|
イルカはとても気になっていた。 その日イルカは同僚と居酒屋で一杯引っかけて家路に就いていた。ほろ酔い加減で少々足下がふらついているし思考もぼんやりとしている。 「こんばんはイルカ先生、ご機嫌ですね、飲んだ帰りですか?」 「はいそうです〜、こんばんは〜。」 イルカはにこにこと笑ってカカシの手首を唐突につかんだ。いつもだったら階級差だのなんだのでそんな暴挙には出ないのだが、今日は酒の力も手伝って気分が大きくなっているのだろう、イルカは躊躇せずにカカシの指をじっと見つめる。 「カカシ先生、なーんでいっつも指を動かしてんです?」 イルカの突然の行動に驚くでもなく、カカシはイルカの好きなように指をいじらせたまま、聞き返した。 「知りたいですか?」 「知りたいですね〜、なんでです〜?」 「どうしても?」 「どうしてもですっ!!」 カカシはひとつ、ため息を吐いた。 「美味しくいただくためですよ。」 「へ?」 酔っぱらいの頭でイルカがカカシを見ると、カカシはにこにこと笑っていた笑みをふっと消して、獲物を狩るようにぎらぎらした目つきになっていた。 「昔から言うでしょ?美味しいものを目の前にすると食指が動くって。」 「ええっ!?」 「お馬鹿さんですねぇ、自分から墓穴を掘るなんて。」 カカシはイルカの手を逆手につかんだ。 「そんなわけなんでいただきますね。」 「えええっ!?」 ぼふんっ、と煙を立ててイルカはカカシに連れられて行ってしまった。そのままイルカは酔っぱらった意識を別のことで混濁させたのだった。 翌朝、実は自分もかなり酔っぱらっていたカカシは同じ布団で眠っていたイルカに蹴り起こされ、変なアピールなんかしないで堂々告白しやがれよっ!とげんこつを食らったらしいが、人差し指をくいくいしながら小さな声で好きです、と言ったら真っ赤な顔で渋々食われたものは仕方ないんで最後まで食べてください、と言われたそうな。 おわり
|