| Σ(- -ノ)ノ エェ!?読んでみるぅ? (注)H話ではありません。 行き当たりバッタリに書いているのでこの先どうなるのか? 自分でもわからないのですが不定期更新と言う事で計画性の無い私ですが良かったら読んでみてね♪ |
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| 『笑って話そうよ』 |
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−1− 『出来事』 【プロローグ】 「ねぇ、ねぇ・・・誰にあげる?」 ひそひそ話が教室のあちらこちらで耳を掠める。 バレンタインの日が近い。 「圭ちゃんは誰に上げるの?」 はぁ〜嫌な時期だなぁ〜と思いながら、何気に掲示板に鋲を刺している私の耳元に囁かれた友達の言葉。 ゆっくり友達の方へ顔だけ向ける。 「朋ちゃんは誰かに上げるの?」 「決まってんじゃン。和くんに・・・」 はぁ〜やっぱ皆狙いは同じかい? ドコが良いんだか、あんなヤツ・・・ クラスのベスト3の和くんは、学年でもベスト3に入ってるら・し・い。 「圭ちゃんはだれ・誰?」 そんな事言われたってチョコ上げたいヤツなんかイナイし・・・ 上げるんなら自分で食べたい・・・ なんて何故か言えないお年頃だし・・・ クラスの中で一番仲の良い友達と同じ相手にするのもナンだし・・・ 頭の中でベスト10位までの男の子の顔を思い浮かべてみる。 やっぱ人気無いヤツの方が良いかなぁ〜・・・そんな事を思っていた。 「誠ちゃんか・な・・・」 まぁ、無難? 「えぇ〜・・・圭ちゃんて誠ちゃん狙いだったのぉ?」 想像してた相手と違ってたらしく、めちゃくちゃ驚いてた・・・ そんなに驚くか? ちょっとマズったかな・・・ まぁイイっか? いよいよ、今日がバレンタイン。 朝から朋ちゃんが私の側にやって来た。 「圭ちゃん おはよう。・・・持ってきたぁ?」 ゲェ。 朝から言うかい?私は、って言うとすっかり朝まで今日がバレンタインだなんて忘れてて・・・ ハッキリ言って買ってもいない。 はぁ〜今日は最悪な日になりそうだ・・・ 下校までの休み時間に女の子達は次々と、さも上げて当然のごとく男の子達の元へと走ってる。 なんで、こんな行事があるのやら・・・お菓子会社の陰謀だぁ〜。 下校前の清掃の時間に朋ちゃんが私の側にやって来た。 「圭ちゃん まだ上げてナイの?誠ちゃん誰からも貰ってナイみたいだよぉ。」 そ・そんな事言われたってさぁ〜 困っちゃうじゃん。 「誠ちゃんに圭ちゃんがクレルからねって言っといたから・・・放課後にちゃんと上げなよ!」 「・・・!・・・」 お・おい!な・なんだってぇ〜?あまりのコトに絶句して走り去る朋ちゃんの背中を睨んでしまった。 ま・マジかよ! ヒェ〜 ど・どうすんだぁ〜・・・ 別に『嘘』付きたくて付いてた訳じゃナイ。ハッキリ言うなら『どうでも良かった』んだ。 初めから誰にも上げないって言っておけば良かった。なんで、あの時にそう言わなかったんだろ? 誠ちゃんが『無難』なんて、なんで思ったんだろ? 呆然と立ち竦む私。 ふっと視線を感じて何気なく見た先には、うっ!誠ちゃんが・・・ こっちを見てた。 ま・参った。 どうするべ。 ダイタイからして‘チョコがナイ!’ 頭を抱える私であった。 下校の鐘と共にチョコを買いに脱兎のごとく走った私・・・ 何やってんだか・・・ 恨むぜ朋ちゃん! 慌てて学校に戻ってみると誠ちゃんの上履きがまだ無かった。 ‘帰ってない’ 近くのスーパーで買って来た298円のアルファベット・チョコにメモ帳を破いたメッセージ。 スーパーで貰ってきたイラスト入りの明治の袋にチョコとメッセージを入れ、下駄箱にそっと入れて・・・ 私は、家へそのまま帰った。 小学校4年生の時の出来事だった。 目次に戻る |
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| −2− 『噂』 小学校を卒業して 私は中学生になった。1年生だけで8クラスある。 どんな人達が集まって来るのだろう?沢山・沢山 友達作って・・・ どんな事が待ち受けているのだろう。 期待に胸をドキドキさせながら・・・・ 私は電車通学を始めた。 同じ学校だった友達が休憩時間ごとに覗きに歩く。 「圭ちゃん みゆきちゃんのクラスに行って見ようよ!」 クラスが別れてしまった朋ちゃんが私を誘いに来る。 一学期も、もうすぐ終わりと言う頃には、お互いに新しい友達も出来て、それぞれがそれぞれに新しいスタートを切っていた。 身体を動かす事が大好きな私は、部活動も始め。毎日玉拾いや掃除など遅くまで部活に夢中になっていた。 友達の入れ替わりも少なくなって一緒に行動する友達もなんとなく決まりつつあった。 部活が終わるとファーストフードでバーガーをかじり、本屋さんに寄ったり公園で飽きる事無くおしゃべりしたり。 毎日が楽しくて、あっと言う間に過ぎて行った。 気が付けば・・・思春期の私達の仲間の中でカップルも誕生していた。 ん・・・・ハッキリ言って良く解からない。異性の存在に不思議な感じがした。 トコトンこう言うコトには鈍いようだ。 どっちかって言うと男の子と話している方が楽だったのかもしれない。全くの恋愛感情ナシで・・・ 女の子と話してる方が何故だか緊張する。相談に乗って貰うのも男の子の方が多かったし、女の子には何故か話せなかった。 イヤ・・・ 本当はワケを知っていたのだ。その時は自覚がなかっただけ・・・ そう・・・こう言う話をしたくなかっただけ。「誰々君が好き」とかナンとか・・・ ウンザリしていたんだ。 だから、やたらとカップルを作りたがる外野には、結構良いネタを提供していた事になる。 本人の知らぬ間に何人もの人とカップルにさせられていた。 物好きなヤツ等もいたものだ。 今、思い出してみれば苦笑するしかないだろ・・・ 私はいつも昼食が終わるとグランドの端っこの草むらに腰を下ろして本を読んだり友達と話したりしていた。 私のお気に入りの場所だった。大きな木が等間隔に植えられていて、小さな川が流れていた。 小さな赤い橋が掛かっていてその橋は、登下校時の電車通学をしている者しか渡らない橋だった。 あの時も、友達と馬鹿話をいつもの場所でしていた。 ふと、校舎の方に目線をやると、女の子が手を振りながら走って来るのが見えた。 「圭ちゃ〜ん」 朋ちゃんだった。クラスも別れ、バス通学の彼女とは最近あまり付き合いがなくなっていた。 だからと言って別にケンカしているワケでもないので、自然に彼女を迎えた。 「良くココがわかったね」 「うん、圭ちゃんのクラスの真佐子ちゃんに聞いたの」 私と同じ部活をしている仲間だった。それにしても、わざわざココまで来るなんて、なんか話でもあるのかな? そう思ったりしていたら、手を引っ張られた。 「ちょっと・ちょっと・・・ニュース・ニュース!こっち来て!!」 「な・なに?何があったの?」 朋ちゃんは私を近くのテニスコートの側まで引っ張っていった。 「あのね。昨日、クラス別のリクレーションがあったでしょ?あの時に3組が全員でゲーム大会して各ゲームごとに負けた人にバツゲームがあったのよ。それでバツゲームを受けた人が10人ほどいたらしいんだけど、そのバツゲームって言うのが‘どんな質問にも答える’ってヤツだったのよ。でね、その中に高杉誠二君もいたワケ。誠二君にされた質問て言うのが・・・」 朋ちゃんは何を興奮しているのか、ニコニコしながら私に顔を近づけて一気にベラベラと話始めた。それがどうした? 何が言いたいのだろうと黙って聞いていた私は朋ちゃんの話を聞いて突然な事に頬を赤らめるよりも、あんぐりと空いた口が塞がらなかった。 「8組の天野さんのコトを好きですか?って言う質問だったのよ!誠二君てば圭ちゃんのコト好きなんだって!」 おいおい・・・ ちょっと待て!そんなコト言うか普通?デマだろ?マジ? ひぇ〜〜〜〜 朋ちゃんは尚も話を続けてるが、もう、私の耳には入ってなかった。とんでもねぇ〜・・・ 何にも考えられなかった。頭の中は真っ白けってヤツだった。その後は、何も覚えていない。 でも、しっかり教室に戻り授業を受け部活をして家に帰ったのだった。 学校は「コの字型」に建っていて中庭があり、文化祭等では茶道部はお茶会をしたり、吹奏楽部が演奏したりと何かと行事に使われていた。 中庭側には、ベランダがあってソコから隣のクラスに入り込んだりもしてベランダも一種の社交場になっている。 中庭を挟んで1〜4組までがA棟・5〜8組がB棟の1階にある。 つまり、ラブラブ・カップルなんかは、ローカを走るよりベランダから出て走るのが速いため待ち合わせ場所にもなっていたワケだ。 私はB棟の8組で高杉くんはA棟の3組・・・ こう言う「噂」は驚くほど早く流れるようだ。 身に染みてよぉ〜〜〜〜〜く解かった。 ベランダ側から、ローカ側から物好きなヤツ等が集まって来てる。 動物園のパンダ状態とは、きっとこんな事なんだろうなぁ〜と他人事のようにギャラリーを見ていた。 「どの子・どの子?」「あの子・あの子?」「大した事ないじゃん」挙句の果てには「ぶっすぅ〜」・・・・ 言葉もナイ。勝手に言っててくれ! 噂話も何日とやら・・・ 早く忘れてくれと願うばかりの日々だった。 アーメン† 目次に戻る |
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| −3− 『雨』 四角い教室・四角い机・四角い椅子・・・ 四角い窓の向こう側は、雨が降っている。 今は、お昼休み。ザワザワしている教室のベランダ側の後ろの隅に膝を抱えてチョコンと座っている。 私のお気に入りの場所はきっと草木も雨に濡れているのだろうな・・・ 「・・・おい・・・」 四角いガラス窓に伝って落ちていく雨の雫を穏やかな気持ちで目で追っていた。 「おい!」 ・・・ん? 誰か呼んだか?私を・・・? 「天野!」 「へぇ?」 なんちゅう間の抜けた返事をしたものか。誰が呼んだんだ?と辺りを見回すと、目の前にクラスの木原くんがコッチを見てた。 「おまえ・・・見えてるぞ!」 「・・・?・・・」 「だから・・・ パンツ・・・」 「・・・!・・・」 ん?咄嗟のコトで声も出さずにいると、何人かの男の子が私の前を行ったり来たり。 屈んではコッチに目線が来てた。 「馬っ鹿じゃない?短パン穿いてるもん。」 いや・・・そう言うコトじゃないんだけど・・・ツッコミ入れてどぉ〜〜するっ!自分! 4時間目が体育だったしどうせ部活で着替えなくちゃなんないから短パンをスカートの下に穿いたままだったんだ。 「ホントになぁ〜・・・どうしてお前のなんか見たがるのか俺は不思議だがな・・・一応、教えておいてやるよ」 口の端を少し歪めて『ニヤリ』と音がしそうな顔の木原だった。クソっ 「そりゃぁ〜どうも。コレ、借りじゃないからね!」 「おぅ!そうしてやるよ?」 木原から『ふん』と顔を背けると私は立ち上がりスカートの裾をパンパンと叩いた。 しょうがない・・・席に戻るか・・・ 黒板の上に掛けてある大きな丸いシチズンの時計を見る。 まだ時間はあるな・・・ そう思いながら椅子に腰掛けて両手を組んで机の上に置くと、顔をうつ伏せた。寝るか・・・ 平気な顔をしてしまった。ホントはめちゃくちゃ恥かしかったけど・・・こう言う時は妙に冷静に対処できてしまうトコがある。 『可愛くネェ〜』とか『女かよ?』とかヤロー共に言われるけど・・・しかたないだろ?性分だ! (そうなのか?) まぁ、木原には何かと言いやすい。 『木原と付き合うのに「女」やってられっかよ?』平気で言い返せる 自分。 木原と何かと話すようになったのは、私が木原相手に取っ組み合いのケンカをしたことから始まった。 2時間目の休憩時間に、何が原因だったのか忘れてしまったけど・・・ 二人腕を伸ばし両手で掴み合い、力比べのように向き合ってた。 掴み合いながら机の上に倒れ、床に転がり足で蹴り上げ・・・ ふっ・・・今思えば良くあんなケンカが出来たモノだ。 3時間目の鐘がなり、いつもより早く教室に現れた先生に昼食時間に呼び出されて二人別々に職員室に向かった。 先生が何をどう注意したのかなんて覚えていない。早く終わらないかなぁ〜と思ってただけだった。 私と木原はって言うと、妙に『スッキリ』して一緒に昼食を食べた。それからの付き合い・・・ 全然、男とか女とかって感じじゃナイんだ。 放課後、服をジャージに変えて旧校舎の空き教室に向かう。 旧校舎は、音楽室や美術室などの教室があり、今では使っていない空き教室が幾つかある。 体育館では、やはり花形スポーツのバレー部やバスケ部に体操部などが占めている。 我がハンドボール部は、出来たばかりのホヤホヤで体育館なんてとても使わせてもらえない。 雨の日は、コノ空き教室で基礎トレーニングをするのだ。 これが、私はイヤだ・・・ 旧校舎は少し離れた所にあるため人が少なく不気味に静かで、こんなところでもくもくとトレーニングなんて・・・ そろそろかな?・・・とかいた汗をタオルで拭きながらポカリを口に含む。 火照ってほんのり赤くなっている顔に缶をくっ付ける・・・ ふぅ〜気持ちイイ。 「上がりぃ〜」 キャプテンが声を上げる。 「お疲れ様でした」と一斉に声を出す。・・・終わったv。 取りあえずシャワー室に真佐子と向かう。 シャワー室は2箇所・水泳部の脇と剣道や柔道部の体育館から飛び出すように増築された建物の横。 女の子達は水泳部のシャワー室が使える。部活を始める前にシャワー室の使用許可を貰っておくのも 1年の仕事だ。 シャワー室の脇に高野くんが立っていた。 「天野 終わったか?」 「ん?終わったよんv 覗きに来たのか?」 「だ・誰が覗くか! 『おばちゃん』行こうぜ?木原も一緒だ。」 私は真佐子を見て声を掛ける。 「行く?」 真佐子は首を振った。そっか・・・ほじゃ私も・・・ 「行かない」 「なんだよ!待っててやったんだぜ?」 真佐子が行って来れば?と腕を突っつく・・・ 「ソフト奢り?」 とニコニコ顔で言ってやる。 「ば〜か」 と仕方なさそうに高野が言った。 やりぃ〜v 奢り決定! ぐふふ・・・ シャワーを浴びて教室に鞄を取りに行く。 教室の前には、高杉くんが立っていた。 「一緒に帰れる?」 「あっ!ごめん・・・高野と『おばちゃん』行くんだ。一緒する?」 「いや・・・止めとくよ。明日一緒できる?」 「ん・・・ 今のトコロ予定無いよ?」 「じゃ・・・明日。」 「おぅ。 バイバイ」 なんだぁ?アイツ・・・変なヤツ。高杉とは恐怖の『パンダ』事件から話したことも無かったのに・・・。 まぁ 良いっか?明日は明日だ。取りあえず今は『おばちゃん』に行こう! 鞄を持って玄関に走って行った。 外はもう、薄暗くなっていて静かに雨が降っていた。 目次に戻る |
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−4− 『マドンナ』 『おばちゃん』って言うのは学校の近くにある『お好み焼き屋』。 名前通りおばちゃんが一人で切盛りしてる。4人掛けのテーブルが3つと5人ほど座れるカウンターがある。 殆どの客は、テイクアウトで帰って行く。今頃の時間は部活帰りの中学生で溢れている店だ。 おばちゃんが作ってくれる、お好み焼き・たこ焼・焼きそば・・・どれもがシンプルで安くて美味い。 玄関に行くと高野が一人で待っていた。高野は木原の親友でA棟の2組だからココで待ち合わせになる。 外に出ると真っ黒だった空の雲も薄くなりちょっと欠けた月が顔を出していた。 二人で『おばちゃん』へ急いだ。 「おせぇ〜ぞ!」 店に着くと木原は5人ほどのグループと一緒にコーラを飲んでいた。 「そっかぁ 結構頑張ったんだぜ?」 大して表情も変えず高野が言った。木原がコッチに来いよ!と手招くと一緒に座っていた5人が席をたった。 「じゃぁ〜な 木原」 「おぅ!またな」 体格の良い5人が出て行くと店内がガラガラになったような気がする。野球部の連中だ。 「おばちゃんソフト一つね」と言って高野の顔を見て顎を突き出してみせる。 「俺 焼きそば一つとおにぎりね」と言って高野がお金を払う。この店は先にお金を払うんだ。 「じゃぁ俺も焼きそば一つね」と木原が言った。 大抵 木原は先に来てても食べないで待っててくれる。結構 義理堅い(?)ヤツだ。 他愛の無い話をしながら喰うもんも喰って満足して、そろそろ帰るか?って思ってた時に店の戸が開いた。 こう言う時って大抵入り口を見ちゃうよね? 「あ・ら 偶然ね?」と優しい声が近づいて来た。 「うっす!今帰り?姫」と言ったら、姫は、ニコっと優しく微笑んだ。 同じクラスの羽田尚子だった。皆からは『マドンナ』と言われている。 色白でセミロングのサラサラヘアーの黒髪には、天使の輪が出来ていてスタイルも良い。 頭の中身までずば抜けていて、常に上位に名前がある。 やっぱ綺麗だなとつくづく思う。私は尚子の事を『姫』と呼んでいる。 「圭ちゃん もう帰るなら一緒に帰る?」 「う〜ん 次の電車で帰るけど・・・」 「良いわよ。そうしましょ?」と言ってまた微笑んだ。うっ!やっぱこの笑顔には弱い。 木原と高野を見たら、手を『シッシ・・・』と振って「またな!」と言った。 まだ、ちょと時間はあるけど私は姫と店を出た。 歩きながら他愛のない話をしていた。私は姫と一緒にいるのが楽しかった。 今まで、私の周りにいた女の子達と違うタイプの女の子だ。どこが?と言われるとちょっと困るけど・・・ 喋る事を考えなくても良いというか・・・気を使う事無くスラスラ話すコトが出来るんだ。 さりげなく色々な面で優しい。気を使わせてるのかな?と幾ら鈍感な私でも思う時がある。 嫌味がなくてとっても居心地が良いと素直に思える。言葉が無くてもニコっと微笑んでくれた顔を見ただけで温かくなれる・・・ そう言う感じがする。 駅のホームに着くと、タイミング良く電車が滑り込んできた。定時よりちょっと早い。 二人でガラガラの電車に乗り込む。コノ電車は通勤に使っている人はゴク僅かで、殆ど学生が利用する電車だ。 もう、時刻は7時を回っているから電車は空いている。 ボーっと窓の外に流れる町並みの光を追っていると、姫が話し出した。 「ねぇ? 木原くんてカッコイイわよね?好きな娘いると思う?」 姫がそんな事を話し出した。驚いた。 姫が木原と話してるトコロなんて見たことも無いし、姫が今更こう言う話題を話すなんて思ってもいなかったんだ。 だって・・・姫には年上の彼氏がいたはずだから・・・ 「・・・ん・・・ カッコイイ? アイツが?・・・」 そうかな?全然思ったコトなかったけど、客観的に言えば不細工ではないな・・・ ふむ・・・(?) 「カッコ良くない?」 私の顔を覗き込むように姫が言う。 「好きな娘はどうかな?そんな話した事もないし・・・聞いてみれば?」 素直に答える。 「聞いて良い?」 「だって聞かなきゃ解かんないでしょ?」 なんで私に聞くのか?私に聞いたって知らないっちゅ〜の!?こう言う話はしたくない。 「そうね。今度聞いてみるわ」 姫はそう言ってまたニコっと微笑んだ。解かってるのかな?この笑顔の力を・・・ 電車を降りて一人。辺りがすっかり暗くなって、私は今日の宿題が英語だった事を思い出した。 やっべぇ〜・・・大嫌いな英語。他の宿題の倍は時間が掛かる。 なんで英語なんかあるんだ。日本語で統一しろ!と悪態ついてしまう私がいる。 目次に戻る |
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−5− 『原因』 天野達が店を出て行った後。木原彰吾と高野貴行は、まだ店にいた。 「あいつ・・・ わかってんのかね?・・・」 ため息混じりに木原が呟くと横で目を細めてクックック・・・と喉を鳴らして笑ってる高野がいた。 高野は美術部に入っているが、木原は部活をしていない。 そんな彼が天野の部活が終わるまで暇な時間潰しをしているのだ。 「オマエもどっかの部に入りゃ〜良いじゃん?」 「そんなコトしたら好きな時に帰れねぇ〜だろが・・・」 目の前にあった割り箸の袋を手で弄びながら口を尖がらす。 「高杉のヤツそろそろ行動起こしそうだぜ?」 教室に鞄を取りに行き少し時間を潰して玄関口で天野を待っていると、高杉がB棟へ入って行くのが見えた。それから間もなく、天野がコッチに走って来るのが見えた。 「鞄取ってくるね」と天野が走って行く後ろ姿を見て、なんとなく追ってしまった高野は、B棟の死角になる柱の影から様子を伺っていた。 声は聞こえなかったが二人が何やら話している姿を確認すると、そっと玄関口に戻ったのだ。 眉毛の端をピクッと上げて高野を上目遣いで見上げ・・・ 「そろそろ帰るか?」と言って鞄を無造作に脇に抱えサッサと店を出て行ってしまった。 ヤレヤレと言うように肩を竦めて椅子から立ち上がると「ごちそうさん」とおばちゃんに声を掛けて木原の後を追った。 木原には、今年高校に入った兄がいる。両親は共働きで父が単身赴任して、まだ1年も経っていない。 母は、和裁教室をビルのテナントで開いている。着物や帯のデザインも手掛けているためテナントの仕事場に篭る事も多々ある。 何も出来ない彰吾に代わって、しっかり者で一見クールな兄の祷吾(トウゴ)が何かと面倒を見ている。 高野は一人っ子だった。父子家庭で育った高野は、仕事で遅くまで家を空けている父の変わりに家のコトは殆ど自分でこなす。 しっかりとした意志をもちクールで無口。抜け目のない高野だが彰吾相手になるとちょっと雰囲気が変わり優しい目をしてしまう自分もしっかり自覚していた。 兄弟同様に育って来たせいか同じ年だと言うのに、ついつい世話を焼きたくなる。 二人は、幼稚園からの付き合いだ。三軒隣と言う訳ではなかったが近所で、幼稚園に迎えに行けない高野の父の代わりに、祷吾が二人を迎えに行っていた。そのまま彰吾の部屋で仲良く手を繋いで寝ていたものだ。 どっちかと言うと甘えん坊は彰吾の方で、夜遅く高野の父が貴行を迎えに来ると何故か気配で起きてしまって、「帰るなよぉ〜」と泣き出してしまう事が良くあった。そんな時は決まって祷吾が彰吾を宥めた。 何をするにも一本気な性格で真面目なトコがある彰吾はワリと一途だ。高野には、なんでも話すコトが出来る。誰よりも信頼し懐いている。 でも、べったりといつも一緒にいる訳ではナイ。お互いにお互いの世界をしっかり持っている。 二人は自転車に乗って家路を辿る。 「なぁ・・・聞いてるか?」 分岐点に差し掛かり自転車を道路脇に止め木原が言う。 「ああ・・・ 何でもチョコを貰ったらしい。」 「ふん・・・チョコで熱くなっちまったのか・・・」 鼻の先で笑うように言葉を吐く。面白く無い。 「今までアイツからチョコを貰ったのは高杉だけらしいぞ」 「目出度いね・・・ アイツは自覚無さ過ぎだし・・・俺がチョコくれなんて言ったら打っ飛ばされんダロ〜な〜」 肩を竦めて可笑しそうに言う。 「いや。アイツなら深く考えないで彰吾にはくれると思うぜ」 アイツなら俺にもくれるだろ・・・とは言わない。可笑しくてつい微笑んでしまう。 「どぉ〜すっかなぁ〜・・・」 「どう したい?」 穏やかな口調でちょっと冷やかし気味に彰吾を伺う。 「いや・・・ 何もしね〜よ」 「打倒だな。まだ早い」 お互いに顔を見合わせため息混じりに頷き合う。 そして、どちらとも無く笑いあい それぞれの家に帰って行った。 目次に戻る −彰吾side− 入学式を終え教室に入ったクラスメイトを眺め、気の合いそうなヤツをリストアップ中に一人の女の子が目に入って来た。 窓際の前から3番目の席。何を見ているのか席に座り頬杖をして顔だけを窓の外に向けている。教室の中は、ザワザワしているのにソコだけは静かだった。 新入生恒例の自己紹介では、単に名前を言い「よろしく」とだけ言って着席してしまった。その表情は穏やかだが大きな瞳に意志を感じる。 『気の強そうな生意気なヤツ』それが第一印象だった。 アイツは授業時間以外は教室にいなかった。休み時間になるとすぐに何処かへ行ってしまう。 そんな事に気が付いた。違うクラスの女の子が誘いに来たりして一緒に出る事もあったが大抵は中庭のコンクリートの上に座って話していた。階段の踊り場で話している時もあったが側にはいつも違うヤツ(男)がいた。 『お盛んだコト・・・』心の中で呟き、関係ないっか・・・と友達の話の輪に加わる。 そもそも天野と話すようになったキッカケが『取っ組み合いのケンカ』だった。 なんでケンカになったんだっけ?と思い出してみる。 あの日は、朝から俺は機嫌が悪かった。寝起きも最悪ならするコトなすコト全て裏目でイライラしていた。 2時間目の授業で班毎に分かれ意見発表するために話し合っていた。天野とは班が違うが隣のグループの中に天野がいた。たまたま俺の後ろに座ってた。グタグタと下らない意見ばかりに『適当にやってくれ』と暇を持て余していたのがいけなかった。椅子を後ろに斜めにし天野の椅子に寄り掛けて話し掛けてしまった。 「お前さ・・・誰が好きなん?」 返事が返って来ない。(当たり前か・・・) 「今日は何人相手にすんの?」 天野はゆっくり振り返り俺を見た。言い過ぎたか?心の中で思ったりもしたが言葉に出してしまった以上消しゴムで消すコトも出来ない。天野は俺をでけぇ瞳で睨みつけると『ふんっ」と顎を上げて顔を元に戻した。 ちょっとビビッたが内心面白く無い。ビビッた?俺が?椅子を元に直し前を向いて舌打ちした。 終わりの鐘がなり自分の席に戻ろうとして天野の側を通った。 「早く行かね〜と振られるぜ?」耳打ちをして通り過ぎようとした時に、腕を掴まれ振り向いた俺の頬に平手打ちが飛んできた。ソレが原因。俺ってトコトン馬鹿だったと思う。『売ったのは俺だ』思い出して落ち込んでしまう自分が情けない。 それ以来 つい、喋り方がケンカ調になってしまう。別にケンカしたい訳じゃナイのに、言いたい事の半分も言えやしない。 俺も怖いんだ。アイツは『人』に対して何故か『心』の警戒心が強い。一見、無邪気に人と接しているように見えるが、本心を言わない。アイツは自分から行動を起こす事をしないのだ。いつも受身の態勢でいる。何を怖がっているのだろう?上辺だけの男友達になんかなりたくない。 アイツが『男』に無防備に見えるのは心を許していないから・・・いや・・・アイツにとって『男』とは男でないのかもしれない。アイツにとって俺はまだ、クラスメイトの一人にしか過ぎないのだ。いつでも忘れてしまえるクラスメイトの一人・・・ 外見だけで判断してケンカ売って・・・それじゃ 無責任なギャラリーと同じだ。いや、あの時は確かにギャラリーの一人だったのだから仕方ない。 『友達』になりたい。アイツに惹かれていく自分を止められない。 アイツは、高杉にチョコを上げたと聞いた。高杉がアイツの事を好きだと言ったと聞いた。 ただ 一度だけ・・・アイツはアイツにチョコを上げた。何故だ?通り過ぎてしまった出来事なのだろうか? アイツはまだ、意識してないだけなのかもしれない・・・ 心に『不安』の灯が小さく付いた・・・ まだ、まだ早い。 震える心を静めながら俺は眠りについた。 目次に戻る |
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| −6− 『家族』 目覚ましが鳴る・・・ 腕を伸ばし手が目覚ましの場所を探し当て時計の振動を止める。まだ、眠い。 布団の中で蹲っていると、また違う目覚ましが鳴り出す。ぐぇ〜・・・髪の毛を掻き回すとまた、目覚ましを止める。 『ガチャ』 部屋の戸が開く音がした。 「圭!起きろ!何度目覚まし止めたら起きるんだよ!」と義弟の遊が布団を勢い良く捲る。 天野の義弟は小学校3年生。生意気盛りだが、はっきり言って圭よりしっかりしている。遊ぶ事にも勉強にも貪欲だ。 習い事をさせても直ぐに飽きてしまう圭とは違い、自分から習い事を始めたいと親に申し出るほどだった。 何が面白いんだか・・・まぁ、私がこんなだから精々親の喜ぶコトをしてやってくれと思ってしまう。 だが、そんな遊が圭は気に入っている。遊は私の事を家の中では「姉ちゃん」とは呼ばない。しっかり、その場に応じて使い分ける。「お姉さん」「姉ちゃん」「ケイ」その時に寄って色々だ。 ソレは、私が望んだコトだった。遊が小さい時から「ケイ」と呼ばせていた。だが、他人の前ではそうも行かないので使い分けるコトになった。コレは、天野家独特と言って良い。何故なら、私は、親の事も『お父さん』『お母さん』とは呼んでないのだ。父の名は、平太で「ぺーやん」 母の名は、友紀子で「ゆきさん」と呼んでいるからだ。 未だにラブラブの二人だ、いい加減にしてくれと言いたいほどだが仲の良い事は喜ぶべきか?と複雑な思いである。 二人は再婚だ。私はぺーやんの連れ子で、遊は二人の間に出来た子供だ。 私は本当の母を知らない。もの心ついた時から、側にはぺーやんしかいなかった。ソレを不満に思ったコトはない。『天野家』は快適だ。 ゆきさんも私に優しくしてくれる。ぺーやんより3つ年下のゆきさんは、少女らしさを絶妙な割合で残し、思わず『守ってあげたい』って男の人なら思うに違いない。 朝ご飯も適当に済ませ「行ってきまぁ〜す。」と駅へ急いだ。うぅ・・・『ヤバイ!乗り遅れちゃうよぉ〜』 この信号を渡ると駅がある。げぇ〜・・・やってしまった。信号を渡る前に電車が来てしまった。 まぁ・・・乗遅れてしまったものは仕方ないのだ。次の電車を待つしかない。完璧に遅刻決定!である。 ぺーやんが、いつも決まって私に言う事がある。 『約束の時間に遅れる事はしてはいけないよ。余裕を持って行動しなさい。それでも遅れた時は心から謝れば良いから、事故に遭うような無茶はしてはいけないよ。それは悲しい事だからね』と・・・ だから、こんな時は余裕を持って行動しなかった事は棚に上げ無茶はしない。 諦めて駅に向かう。 「けいちゃ〜んッ」 誰かが名前を呼んだ。振り返ると信号の向こうに従兄弟の俊弥さんがバイクに跨って止まっていた。 大学生の俊弥さんは、背が高くガッチリとした体格にちょっと日焼けした顔立ちは凛々しく口元に見え隠れする右の八重歯が時折幼い笑顔を作る。黙って立っていれば誰でも頬を赤らめるだろう。あくまでも黙っていれば!だけど・・・ 信号が変わり私の側にやって来た。 「チビ介 寝坊でもしたか?」 「俊弥さんは何でココにいんの?」 「ん? ヤボ用」 と言ってウインクしてメットを私に持たせた。 「乗ってくか?」 メット渡してから聞くなちゅ〜ねん。でも、まぁ・・・遅刻は免れそうだ・・・私は頷いて後ろに乗る。 「しっかり掴まってろよ」と言うとバイクが走り出した。 学校の校門の近くで下ろしてもらった。おやじギャグ炸裂の俊弥さんにいささか呆れながらも「ありがとう」とお礼を言うと、私の顔を覗くようにして「いつもそれだけ素直なら可愛いのにね」と言いやがった。 『くそっ オヤジ!』心の中で悪態をつきながらも顔は笑顔を装って・・・(引きつってたか?) にっこりと微笑み・・・ 「案外、単純なのね?」と返してやった。 俊弥さんは、可笑しそうに笑いながら私の頭を『ポンポン』と軽く叩いて・・・ 「もう、寝坊するなよ!じゃぁ〜なっ」と言ってバイクを走らせた。走り去る後ろ姿を見送っていると軽く右手を上げて手を振ってくれた。 『キザなおじん!』でも、時間は充分にあった。遅刻しないで済んだのは彼のお陰なので感謝してやる。 席に着くと木原が「おはよぉ〜」と言って教室に入って来た。 いつも元気なヤツだ。木原には悩みなんてないのだろうか?最近、気が付くと木原が側にいる。何が楽しくて私をかまうのだろう?まぁ・・・いいさ 時期に飽きる・・・。 目次に戻る −7− 『風』 学校の近くまで来るとバイクの側で家の学校の制服を着てる女の子とやたらと背の高い男が、楽しそうに話をしている姿が見えた。コッチからは男の後ろ姿に隠れて女の子の方は制服しか見えない。 男は女の子の頭をポンポンと叩くとバイクに乗って行ってしまった。 「・・・!!!・・・」 「あっ・天野・・・?」 相手の女の子は天野だった。 ナニやってんだよ!オマエ・・・ ボーッとしている間に天野は校門の中に消えていた。 全く自覚無いのにも程がある。そんな事やってるから誤解されるんだろうが・・・と心の中では言えるものの本人を目の前にすると言えないんだなぁ〜コレが・・・ しかし 誰だ?バイク乗ってたよな・・・大学生か?めちゃくちゃ年上じゃんか・・・ 大きなため息をついて・・・いじけるな 俺!負けるな 俺! 気合を入れて大きな声を出す。「おはよぉ〜」俺は元気に教室に入って天野の姿を探した。 木原は机の上に鞄を置くと私の前の席に後ろ向きに座り「おっす!」と声をかけて来た。 「バイクに乗ってご出勤とはリッチじゃん。」 「ん?あぁ・・・見てたんだ」 もうちょっと手前で下ろしてもらえば良かったかな?もしかして結構見られてたかもしれないな・・・まぁ こんな事はもうナイだろうし・・・良いっか。とチラッと思った。 「おぅ。俺も早く免許が欲しいぜ マズは原チャリだな」 「木原ってバイク好きなの?」 「やっぱカッコイイじゃん。知り合いか?俺も乗っけてもらえね〜かなぁ〜」(言ってみろよ 誰なんだよ?) 「あぁ?従兄弟だよ偶然会ったんだ」 「なんだ・・・寝坊でもして泣きついたのか?」(あぁ従兄弟かと思いながら何気に言葉にしていた。) 「悪かったわね。寝坊しましたって言わせたいワケ?」頬をプクッと膨らませ口を尖がらせる。 「図星だろ〜が・・・」木原はワザと愉快そうに笑ってやる・・・(イマイチ詰めに甘いよなぁ 俺。) 「ほら・・・もうっ!先生来ちゃうよ。中野さんの席空けてあげなよ!」そう言って追い立ててやった。 「はいはい。」 まぁ 聞く事は聞けたし良しとするか・・・木原の頭の中に『従兄弟』の存在がインプットされた。 「キリィ〜ツッ」 学級委員の声が響く。ガタガタと椅子のずれる音がする。先生が生徒の顔を見回した。 生徒たちの一日が始まろうとしていた・・・ 温かな光りが校舎を照らし、樹々の葉が鮮やかな緑に輝いていた。穏やかな風に揺れる草花達のざわめきは、これから起きる出来事の噂話でもしているようだ・・・ それぞれがそれぞれに何か起こりそうな予感を感じていた。 この学び舎が見守る中で・・・ |
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取り合えず、主な登場人物と家族の紹介が終わったのでココで、 無理やり区切っちゃいました。尻切れトンボはそのうちに、なんとか・・・ やっと・やっと話が始まりそうです。(笑) 文才の無い私が書いているので 難しい事は一切無しの自己満足で 何と無く書いてみましたが・・・ こんなに続くとは・・・(笑) まだまだ 続くかも? 突然 終わっちゃうかも? ソレは 私にもわかりません。(すみません<(_ _)>ペコ) 最後まで読んで下さった方には 心から感謝です♥ 目次に戻る |
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