秋晴れで暑いくらいの日だった。
私は前日になんでもない段差の所で足を踏み外してしまい、運悪く、足の骨を折ってしまった。
悪い事って重なるのであろうか・・・
私は自分の部屋で足を高くして寝転んでいた。
(医者から、“足を高くして安静にしているように!”って言われていたから・・)
そんな私の耳に “○○さ〜〜ん! いるぅ〜〜?”
って近所のおばさんの声が聞こえてくる。
私は昨日転んだばかりで、ギブス姿の私の姿をなんとなく見せたくない・・という気持ちだったけれど、
なんだか、いつもと違って、執拗に私を探しているかのように呼んでいる。
これは単なる用事とは違うな。。
“エッコラセイ・・”と、起き上がって、玄関の方へ松葉杖をついてよたよたと歩いていった。
おばさんはそんな私の姿を見て、どう思ったのであろう・・
“ああ、あんたどうした? そんなんじゃ、だめだねぇ・・”
その口調に、“なんかただ事ではない・・” という不吉な思いが頭をよぎった。
“あんたんっちの猫、死んでるよ! あんたんっちの茶色の猫、白い首輪していたやろ?”
私の頭の中が真っ白になったように感じた。。
“でも、あんた、そんなんじゃ、ダメだね〜〜”
私はおばぁさんの言いたい事がわかった。
道路で事故に遭って死んでしまった麻呂を連れてこなくてはいけないのだ。
幸運にも今日は日曜日・・息子が家にいたのです・・いつもなら、とっくにどこかへ出かけて留守なのに・・
涙が流れ、息子にすがるように、
“麻呂ちゃん、死んだんだってぇぇ・・、ねぇ、連れてきてよぅ・・ ”
そんな私の様子を見て、おばさんは、
“こうなるから、動物を飼うのがイヤなんだよねぇ・・”ってつぶやいた。
息子の腕に抱かれてきた麻呂は、まだ事故にあって間もないのであろう・・
ソマリの特徴であるキツネのようなふんわりしたしっぽが空中、真横にピーンと立っている。
きっと、バーンと顔が車に当たったのであろう、顔だけが無残な姿!
しかし、その他は全く無傷! それが私にとって何よりであった。
顔に白い布を当てて、仏壇の前に横たわっている麻呂・・・
撫でている体がずんずん冷たくなっていく。
我が家へ来る前から一緒に暮らしている兄弟のようなアトムが麻呂の異変に気づいたのか、臭いをかいでいる。
アトムも悲しんでいるのでしょうか・・?
一昨年死んだミーちゃんのすぐ横に息子に深い穴を掘って、そこに麻呂を眠らせた。
私がいつも見渡せる場所に・・・お墓がある。
- 麻呂(1歳半) 2002年10月13日(日) 交通事故死。-
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