Last Update : 2002/11/29
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やる事は正しいように見えるが、運用方法が大問題な
「青環法」
目的は正しいようだが、規制対象が大規模過ぎる
「児ポ法」改正




最初に


 今ネットで騒がれている「青環法」と「児ポ法」ですが、この2つは全くの別物です。
 後押している団体も提案している議員も別なので注意が必要です。
 しかしこの2つの法案に共通して言える問題点があります。
 それは、施行された暁には18禁に関係なくメディアに対して大打撃を与え、ネットにおいてはサイトの魔女狩り的な光景が展開される恐れがある事です。
 前置きはこの位にしておいて、「青環法」「児ポ法」についての問題点を簡単に説明します。




やる事は正しいように見えるが、運用方法が大問題な「青環法」


実はこの「青環法」
「青少年を有害な情報から保護する」ことを目的にしているにも関わらず、有害な情報とは何かということが全く指定されていません。
さらに青少年有害社会環境対策協会(監視する団体名)に対して、市民の側から監視する方法、異義を申し立てる方法が法的に存在しません。

これがどういう事か分かるでしょうか?

これはつまり、「青少年有害社会環境対策協会」は主観的に「有害な情報」を指定して規制できる超法規的な組織である事が保証されていると言う事なのです。

しかもここで言う「超法規的」というのは、
その組織が政治家の言いなりになってメディアを規制しても、
寄せられた苦情を元に全く調査せずに規制しても、
担当者が個人的に気に入らないと理由で規制しても、
組織あるいは担当者には全くお咎めなしという事なのです。

目下のところ一番問題とされているのは行政からの言論統制の問題であり、メディアからの反発が大きい理由はそこにあるようです。
もし、青少年を有害な情報から保護することを目的とするならば、基準や運用方法をもっと詳細に決定すべきなのですが・・・
どうも「青環法」の提案者の方はその気がないようなのが気になります。
(なお、青少年有害社会環境対策協会は違反者に対する勧告および従わない場合は公表という手段しか法的手段はありません。一応自主規制を促すってのが名目だそうですから)

更に詳細を知りたい方は以下のバナーからリンクを辿ってください。



目的は正しいようだが、規制対象が大規模過ぎる改正後「児ポ法」


「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護に関する法律」
これが「児ポ法」の正式名称です。
この法律は既に施行済みなのですが、今回の改正が通った場合、大問題が発生します。
以下に問題となる部分を挙げます。

・「性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」も全て児童ポルノと指定します。
(ちなみに児童は18歳未満となっています)
・「児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦 から輸出した者」は処罰の対象になります。(捨てないと罰金、従わなければ禁固です)

第一の問題点は、今までの「児童ポルノ」の定義が大幅に変わるという点です。
今までの法律では「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」ということになるのですが、それが「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という風に極めて拡大された内容に定義が変更になっています。
しかも、困った事に新たに定義された「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の詳細が全く文面化されていないのです。
つまりどういうことかというと、この文面でみる「児童ポルノ」は警察や裁判所で拡大解釈される可能性があるのです。
どれくらい拡大解釈されるかは他のサイトをあたって見た方がいいと思いますが、以下に一例を挙げれます。
・女子高生の水着姿、体操着姿、スコートは元よりブルマ姿も報道内容にかかわらず引っかかります。
・高校生同士のキスシーンの引っかかります。
・微笑ましい幼児の写真も対象になる可能性があります。
そして恐ろしい事には、これらの拡大解釈を止める術が存在しないのです。

第二の問題点は、上記で定義した「児童ポルノ」を製造するだけでなく、所持した場合も罰則の対象になるという点です。
ここで特に問題なのは「所持」しただけでという事です。
想像してみて下さい。
過去にあったどんないい作品でも、たまたま「抵触しそうな」女の子のイラストが1枚あっただけで、あるいはやばいカットが1コマ入っていただけで捨てなければならなくなると光景を。
TV局や報道各社で、そのようなシーンがあると言う理由だけで過去のフィルムや写真や番組が根こそぎ廃棄される光景を。
はっきり言わせてもらえば、これは現代の「焚書」です。
しかもこの場合、取り締まられる側は取り締まる側の最大限の拡大解釈を元に判断するわけですから、どこまで影響範囲がでかくなるか想像もつきません。
これは「製作」に関しても言えることです。
これも取り締まる側の最大限の拡大解釈を元に自主規制するわけですから・・・
結果は日の目を見るより明らかです。

正直、この改正案が成立するとは考えにくいです。
ですが、このような案を真面目に考えている人(現法務大臣です)がいるということは念頭に置いておいてください。

更に詳細を知りたい方は以下のバナーからリンクを辿ってください。



最後に一言


法治国家とは「人が法律を守る限り治安が保たれる国家」の事を言います。
そのためには法律は厳正なものでなくてはなりません。
『良心』などというものに頼って治安が成り立つのならば、始めから法律など要りません。
ましてや運用する人の心次第で国に害をもたらすような法律など、絶対成立させてはいけません

これは禁酒法が悪法であることよりも明白な事実なのです。