バイクに乗りたいと思っている方に!         kazetabi.gif

 何かのきっかけでバイクに出会い、そしてライダーになりたいと考えている方に、余計なお世話とは知りつつライダーの先輩からいくつかアドバイスしたい。

 まず、バイクの運転には相応の免許が必要だ。

原付免許は排気量50ccまでのバイクに乗ることができる。(普通自動車免許にはセットでついています)非力で、制限速度も30km/hまでだが、原付も間違いなくバイクである。モンキーに大きな荷物を積んでのんびり日本一週なんてのもイイかもしれない。自転車に近い感覚だろうか。時間が有る方にはイイかも知れない。
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小型二輪免許では125ccまでのバイクに乗る事ができる。非力では有るが原付の比ではない。
 車種にもよるが、その気になれば100km/h位は出る。制限速度も普通車並だが、高速道路、自動車専用道路は走行できない。
 しかし、任意保険はファミリーバイク特約で車とセットにする事ができ経済的である。また、乗鞍スカイラインなど一部の有料道路では自転車扱いになり超安価で通行できる場合がある。
 入門にはお勧め。おいらも10年近く小型二輪を相棒にしていたし、現在もセカンドバイクに125cc4ストシングルのトライアラーの出物を探している。
 そいつを駆って山奥の林道などへ行ってみたいと夢みている。(ハーレーじゃ林道は無理だからなぁ)

普通二輪免許では400ccまで乗れる。
 一般の道路を駆る事を考えると動力性能的には充分である。中には200km/h近いスピードを出す事ができる車種もある。400ccクラスは現在最もラインナップが充実しているのではないだろうか?あらゆるタイプからお好みの車種を選べると思う。
 ただし、250ccを超えると車検が必要になる。資金や技量を考えて選ぼう。
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大型二輪免許ではあらゆる二輪車を運転する事ができる。(ただし当然ながら相応の技量を求められる)
 以前はライダー憧れの免許であったが、現在では自動車学校でも免許を取れるようになった為、以前程は困難で無い。しかし、現在でも地上を走行する乗り物の免許としては、日本の大型二輪検定が世界一難しいと言われている。(自動車学校で同期だった方が、大型特殊の方が簡単だったと言っていたから本当かも知れない。)
 最近では女性の大型ライダーも珍しく無いので是非挑戦して欲しい。

 バイクはその用途によって幾つかの基本的なスタイルがある
 自動車学校で乗るロードスポーツ(最近はネイキッドと呼ぶことが多い)。
 カウリングの派手なレーサーレプリカ
 荒地を得意とするオフロード
 ハーレーを代表とするアメリカン
 さらにロードとオフロードの中間的な特性を持つデュアルパーパスや、例えばオフロードでもモトクロッサーやトライアラーなど細分化するときりが無い。
 これらもお好みで選んで差し支え無いが、初めての方に聞かれればオフロードをお勧めしている。
 バイクに乗っている間に走りたい道(道で無い事もあるが)の好みが出てくるが、オフロードならあらゆる好みに対応できるからである。
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 おいらは、ライディングの基本はオフロードだと思っているので、人にはオフロードを薦めている。(でもアメリカンに乗ってるんだなぁ!!)
 初めての方には200cc〜250ccの4ストシングルのオフロードバイクをお勧めする。車種は体格等を考慮して選べば良いが、低速トルクの大きいものが乗りやすいだろう。
ツーリングは勿論、林道トレッキングにも使える。行けない処は無い(腕にもよるが)。ちょっとした川原や山道で一日遊べるところがいい。
 オフロード以外の車種を選びたいと思っている方も、単カタログの最高出力だけで馬力を盲信してはいけない。
バイクメーカーはライバル社より1馬力でも大きな数字をカタログに掲載したいために、しばしば姑息な技を使っている。
馬力(最高出力)は一定時間内に出来る仕事量を示している。そのためトルク(軸出力)を抑え回転数を稼いで結果的に大きな仕事量を出力するというレーシングカーのような裏技を使う。こんな車種は選んではいけない。(レーサーのような腕があれば別だが、何れにせよ公道でその力を発揮する事は無い)乗り難いだけのバイクである。
 どちらかと云えば最高出力より、最大トルクの大きい物を選んだ方が乗り易い。カタログなどでじっくり検討して欲しい。
ライディングポジション(乗車姿勢)の点から考えても、オフロードかロードスポーツが自然で乗り易い。ステップに自然に荷重がかかり、無理な前傾姿勢に為らない方がツーリングでも楽である。
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 おいらは現在アメリカンタイプに乗っているが、足を投げ出すようなアメリカンの乗車姿勢はステップに荷重をかけにくく、特に加速時や登坂時のコーナーで安定性が悪い。従ってワインディングは苦手だし、何より面白く無い。(おいらはもうご年配なので、安全を考えのんびり運転に徹している)アメリカンタイプの美点は長距離の移動が楽という事だけだと思って頂いて間違い無い。
特にハーレーに乗りたいと考えている方は、重い、遅い、曲がらない、止まらない、壊れる(エボリュ―ション以降はそれ以前のタイプほどは壊れなくなったらしいが、今まで二台乗ったいずれも初期不良が有った)。を予め覚悟して相応の運転を心掛けて頂きたい。ただし、ハーレーが悪いと言ってはいない。それらの短所をカバーして余りあるテイスト(味わい)は間違いなくある。これらは、カタログでは解からないし、国産車の多くが忘れてしまった物である。

 次にバイクのエンジンには二つのタイプが有る事を知って欲しい。
2ストロークエンジン(2スト)と4ストロークエンジン(4スト)だ。
2スト
は排気量の割にパワーを出せるのでレーサー等に多用されている。また、構造がシンプルで安価なのでスクーター等にも使われているが、排気ガスの問題で車種は減る傾向にある。新車での発売は2005年の時点で無くなっていると思うが、中古市場にはまだまだ存在するようだ。
 同排気量の4ストに較べ燃費は悪い。また、エンジンブレーキが利かないので峠の下りなどで怖い思いをする可能性が高い。
2スト車は将来永くは乗れない社会的事情がある。乗るなら今の内だ。
 
こいつに乗って峠に行き、排気量が倍以上ある高級大型車を追いかけ廻し、格好だけの峠族に泡を吹かせるような使い方をしたい。
 軽量ハイパワーが持ち味なので腕さえあれば充分に可能だ。ただし上記したようにエンブレは期待できないので下りは命懸けを覚悟しておかねばならない。パワーの立ち上がりがピーキーなのでゆっくり流すような走り方には向かない。当然、初心者にはお勧めしない。
 もっとも、最近のバイクはほとんど4ストでは有るが・・・

4ストは自動車のエンジンと同じ構造だ。しっかりとしたリズム(鼓動)を持つ効率の良いエンジンである。
 2ストに較べてまず燃費が良い。オイルを燃焼しない構造なのでオイルを給油する必要が無い。2ストに較べてエンブレが効く場合が多い。新車で購入する場合は4ストだと思ってマチガイ無い。


 さて2・4ストとも、エンジンシリンダーが一つの物を単気筒(シングル)、二つの物を二気筒(ツイン)三つは滅多に無く、四つの物を四気筒(フォア)と呼ぶ。それ以上も滅多に無い。
 シリンダーの数が多くなるほど、エンジンの回転はスムースになるが当然ながら大きく重く複雑になる。
 単気筒や二気筒にはスムーズさは無いが、独特の鼓動感の有る物が多い。
 鼓動感を求めるか、滑らかさを求めるかは個人の嗜好の問題でとやかく言う気は無いが、初心者の方は、まずシングルに乗る事をお勧めする。
 エンジンの調子が解かり易く、構造もシンプルなのであれこれ調整するのも難しく無い。
 天気によって調子の差が解かるくらいになると、愛しい相棒になる。


 随分昔の話に為るが、おいらのバイク好きにつられてバイクの免許を取り早速バイクを購入した方が居た。
 ところが初めて購入したバイクが、その時流行っていた2スト三気筒のレーサーレプリカだった。
 購入してすぐにバイクに跨る勇姿を見せに来てくれた。「そのバイクはあんたには無理だ。」と、言い掛けた言葉を唇から先には出さなかったが、その後はその勇姿を一度も見る事がなかった。
 しばらくして会った時に聞いてみるとバイクには全然乗っていないと言う。つまらなかったと言うのだ。
 詳しくは聞かなかったが、彼女にも、彼女に買われたバイクにも不幸な話だ。
 バイクにはエアコンもカーステも無いし、2人乗りは辛い。雨が降れば濡れるし、天気のいい日は虫が多くて大変だ。
 うっかりすると転倒するし、事故れば大怪我する可能性が高い。
 ろくな事は無いと考えるのが普通の神経だ。
 それでもバイクに乗るライダーと云う人種は、頭がどうかしている人達だと思った方が確かである。

 バイクは打ち出の小槌でもタイムマシーンでも無い。
 バイクさえ手に入れれば何かが変わると思ったら大間違いだ。
 バイクライフはバイクから与えられる物では無く、バイクと作ってゆくものなのだ。

 それでもバイクに乗りたいと思っているちょっと頭のおかしい方に言っておきたい。
 何処か旅先で会いたいものだ。
 そして友達になろう。



                      2001.8/25 風来坊主

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