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一階の幼少組の部屋を1つ1つ確認し終え、一同は二階へと上がっていった。 「お前らどうした、元気ないぞ?夏ばてか?この任務が終わったら火影様が甘栗甘でかき氷をおごってくださるそうだから、元気出せよ!!」 イルカの言葉は、普段だったら嬉しいだろう。甘栗甘のかき氷はかなりおいしいので有名だ。甘いものが苦手なサスケもそこの宇治金時ならば食べられるほどだった。 「おいおい、修行ばっかりで任務がしたいって言ってたのは誰だ?」 完璧に夏ばてをしていると思い違いをしているらしいイルカが苦笑した。 「な、なんでぇ、犬っころかよ。脅かすなよなあ〜。」 ナルトが緊張していた体をほぐして犬に近寄ろうとした。が、唐突にサスケにその肩を掴まれて引き留められた。 「さ、サスケ?」 サスケの顔が硬直している。サクラの表情も暗い。 「なに見てんだよ。」 おっさんくさい声がした。し、しゃべった!?そりゃ確かに忍犬だって忍亀だって忍蛙だって喋るけど、でも顔がまったく人のものってのはどうにも理解しがたい。 大体どうして顔だけ人なんだっ!?過去に何があったんだ?って言うかそもそもなんでアカデミーにいるんだよっ! 「じ、じんめ、」 サクラが震える声でその物体の正体を今口にしようとした時、イルカはいきなりずんずんと歩いていって、あろうことかその犬っぽいものを抱きしめたのだった。 「パックンを思い出すなあ、カカシさんは今頃、なにしてんだろうなあ。任務、無事にこなしてくれてたらいいんだけど、あの人は仲間思いだから。」 どうやらカカシを思い出してうるっときてしまったらしい。 「イルカ先生、忍犬と勘違いしてるってばよ...。」 ナルトががっくりと肩を落とす。でもまあ、別に危害を加えるような感じでもないし、と3人はイルカのおかげで幾分ほんわかとした雰囲気に少しだけ緊張を解いた。その後、イルカはご主人様の所にお帰り、と言って人面犬と手を振っておわかれし、一同は美術室を出たのだった。 |