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うちの主人公は、緋月 龍那(注:世間様と仲間内には【龍麻】という男で通してる)といいます。
一応(今のところ夜間限定ですが)女なんですけど、本人自覚皆無のちょっとこまったちゃん。更に、レンズマンの上に、その左手の手袋の中に双子に弟の龍麻(通称:タマ)を飼っていたりします。(笑)(詳しくは「君が眠らせない」参照)
頑張れタマ。頑張れ京一。《女の自覚》への道程は厳しいぞ(笑)。恋人へ道程はさらに荊道だ!!。


ACT:2  過ぎし時と未来の狭間



  雨の中、たたずむ二つの影。
  誰かが、泣いている。

「それが、汝の望みか?」

「いいえ………、私達の《願い》です。」

「その為に、如何なる怨嗟をその身に受ける事となってもか?。」

「それでこの《願い》が、そして《想い》がかなうなら。」

「代償は汝自身のその《命》。それをもってすらも、時を稼ぐことと僅かな《希望》を紡ぐことしかできぬ。」

「だからといって、今それを惜しんでどうなります?。既に《彼女》はその《願い》の為に、貴方を此処に招き可能性を繋げる為に、その命の最後の灯火を使った。ならば私も………。」

「己の最も愛する者達の為に惜しむ命ではないか……。だが、汝等の《願い》はこの世界の滅びの要因となるかもしれぬ。この娘に架せられた孤独と修羅の【宿命】ゆえに。」

「私は信じます、この子達はきっと道を違えたりしないと。全てをその【宿命】に囚われないように、その為の【契約】でしょう。」

「たとえ、汝等のその《願い》がこの娘にとって耐え難き【呪縛】にしかならぬとしてもか?。いま一人の子がその購いを負う事になるとしてもか?。」

「それでも…………。」

「望むか。だが、それが人の子の親として決して愚かな誤まった選択とは言わぬ。正否を決めるのは、私でも汝でもないのだから。」

「………はい。」

「行くがいい。行って己の為すべき事を果たすがいい。それが汝と我等の【契約】の始まりとなる。」

「………。」

「【龍王の末裔】たる者よ………。その汝の《命》と我のこの名にかけて、見届けよう。汝の子等が如何なる道を、どのような【運命】を選ぶかを。そして、【契約】の果たされし時は………。」

「その時は…………。」


 泣いている。何の為に、誰の為に。
 どうかもう泣かないで、ずっと側にいるから。寂しくないように、傷つかないように。
  ――――――――貴女がいつか【運命】を見出すまで。



 *  龍麻



 う――ん。あふ。うたた寝しちゃったみたいだ、まだ頭がぼーっとしてる。
 今の夢。何かとっても懐かしい誰かの声がする夢。きっと、どちらか片方が俺達の本当の父さんなんじゃないかなぁ、不思議とそんな気がする。
会話の内容はちょっとばかり(っていうか、かなり)非常識な内容だったけど、まあそんなもんなんだろう、俺達姉弟の実の親ならさ。(話を聞いた限りじゃ、あんまり《常識》と折り合いの良くない人だったらしいから。人格は別にしておいたしてもね。)
 実際、姉さんは去年の冬の一件の時に父さんらしい人の声を聞いたって言うけど。普通言わないよねぇ、生まれたばっかの実の娘に「友の為に闘え。」なんて。まっ、あの義母さんが溺愛の限りを尽くしたたった一人の弟だったっていうから、何を言わんやかやだ。(なんか、虚しい納得の仕方だ。)
 何度目かなぁ、こういう意味ありげな夢を見るのは。きっと朝から降っている雨の所為だ。昔っから、こういう天気の時は俺の【氣】って落ち込んじゃうからね。なんでも午前中には上がるそうだけど、さっさと止んでくんないかなぁ。俺、雨って嫌いなんだよ。
 それに、今日は何か何処かでお祭りがあるって小蒔ちゃんが言ってたもんね。聴くだけでもワクワクしてくるよね、お祭りって。

『おい、タマ。』
『何?、姉さん。テスト終わったの。』
 はれ?!、珍しい。姉さんがテスト中に俺を呼ぶなんて。(まるでカンニングしているみたいで嫌らしい。)
 ちなみに、今は2時限目。マリア先生の英語の時間で、ただ今、小テストの真っ最中。
『オレは一応、全部埋め終わってる。それよりちょっと《おつかい》に行って来い。』
そう言って示された先には、テスト中であるにもかかわらず机に突っ伏して爆睡中の京一の姿が(汗)。あいかわらず馬鹿やってんのなぁ、京一。懲りないっていうか、なんというか。
『《おつかい》って……。姉さん、俺は《ポストペット》じゃないんだよ(怒)。』
『じゃあ《ポスペ》より役立つところを見せてみろ。とっととあの《馬鹿》を叩き起こして、テストをきちんとやらせてこい。なんなら2・3問くらい答えを教えてきてもいいからな。』
『姉さんってば、自分は嫌がるくせに、俺にカンニングの片棒担げっていうの。』
『仕方ないだろ。このテストを落としたら、アイツ、今週土曜日の午後が特別補習になっちまうんだから。』
『別に、いつもの事じゃないの。』
京一の補習や居残りなんて、日常茶飯事だもん。そんなの、姉さんの方が良く知ってるんじゃないの。その度に付き合ったり手伝ったりしてるんだから。(ついでにボコボコ殴ってるけどさ)
『今回だけは、オレにも責任があるからな。』
 あっ、そうか!。先週、京一が学校休んだのは《あの一件》(注:修学旅行の《京一、ひーちゃんに夜這い騒ぎ》の事だよん)の所為だもんねぇ。姉さんも人の忠告聞かないから。
恐るべきは、《緋月龍麻 お大事同盟》の高速情報ネットワークだったってとこかな。
『それに、今度の土曜日の午後は二人で《旧校舎潜り》に行く約束してるからな。今週を逃すと中間テストが終わるまで暫く暇がないだろ。』
 へっ?!、《旧校舎》ぁ?。俺、そんな話聞いてないよ。京一ってば何時の間に?。
『何でまた?。もう鬼道衆はいないんだよ。それに二人だけでって、回復とかはどうするの?。』
姉さんは兎も角、京一は攻撃技オンリーなんだから。
『なんか、こないだのみんなに《フクロ》にされた件で、どうしても鍛錬したくなったんだと。やっぱ【相棒】ならちゃんと付き合ってやんなきゃな。ちなみに、回復ならオレが【魯班尺】を装備すれば問題ない。アイテムもちゃんと持ってくし。』
 そんな嬉しそうに《裏技》をあっさり言わないでくれる。おまけにあの技は、姉さんの場合《要、接触》なんだよ。京一もそこまで期待して誘ってんのかなぁ。
『まあ、いいけどねぇ。』
はぁーあ、京一も努力は認めるけどさ。どうして二人っきりになる口実に【旧校舎潜り】なんて使うかなあ。前は【女風呂のぞき】に【夜間脱走ナンパ】だったもんね。
 いくら姉さんが実は【女】(夜間限定だけど)って教える前だったとはいえ、ちょっとセンス疑っちゃうよ。(自称:《真神一の色男》なんて言ってるくせに)
ましてや、今はちゃんと姉さんが《おねーちゃん》だって知ってるんだから、もう少しムードってもんを考えてくんなきゃ。《おねーちゃん馬鹿一代》の名がスタっちゃうよ。
今度キッチリとアドバイスしてやんなきゃいけないな。
『解かったらとっとと行け、タマ。あと10分で制限時間終わっちまうだろ。』
 仕方ないなあ。まあこの二人の仲の進展には俺も協力は惜しまないつもりだから、しょうがないか。(俺の《使命達成》の為にね)
『ハイハイ。御下命承りました。では【龍麻】、行ってまいりまーす♪。』

 俺はこっそりと【氣】で構成した身体(霊体みたいなもん。っていうか分身かな)を京一の所まで飛ばす。ちなみに、俺は姉さんの手の中の本体からだいたい10〜50mくらいなら、こうやって自由に行動することができる。って言っても実体じゃないから、見て、聞いて、喋って、【氣】を飛ばすくらいしかできないけどね。(まあ、【氣】を飛ばせばイロイロと小細工はできるけどさ)
『京一、京一。』
とーぜん、このくらいじゃ起きてくれない。
『起きてよ、京一。ねぇ、起きてってば。』
「むにゃ………。」
『起きないと、姉さんに【秘拳・黄龍】くらうよ。』
「むにゃ………ひーちゃぁん♪。」
 駄目だこりゃ。
 う――ぅぅぅ、時間がないよう。あと8分で、この真っ白なテスト用紙を京一になんとかさせろっていうのか。
もうしょうがない、こうなったら非常手段だ。
『あ―――っっっっ!!。翡翠が【ひーちゃん】に抱きついてるぅ。』
「なぁっにぃーぃぃぃぃ!!!!。」
 ガッタ――ンッ★
京一はガバッと顔を起こすやいなや、凄まじい音を立てて椅子を蹴倒し立ち上がった。
「てめえ、このど腐れスカポラ亀野郎。何してやぁがる。」
更に、隣の教室まで響くような怒声を上げ、机の横の処に立て掛けてあった愛用の木刀を引っ掴むと(鞘袋から出すまで0.5秒弱)、そのまますぐ側に立っていた人間の喉元に突きつける。
「この俺にブチのめされたくなかったら、其処からとっとと失せやがれ!!(怒)。」
って、突きつけられた木刀の先にいたのは…………まっ、マリア先生(滝汗)。

「ほ・う・ら・い・じ・く・ん。」
 マリア先生は、その綺麗な顔を無表情にしたままで京一に話し掛ける。
 あーあ、京一の大馬鹿。
「……へっ?!。あ、あれ?、マリアセンセー???。」
「ワタクシ、ここからいなくなった方がいいのカシラ?。」
「あっ、いえそんなこと………ない……です。」
「そう、よかったワ。」
「………へへっ、なんか寝ぼけちまったみたいで。」
「そのようネ。テスト用紙も真っ白のままのようだし………。」
「あはははは…………(汗)。」
京一、さすがに顔が引き攣っちゃってる。それより、さっさとその木刀引っ込めなよ。
「もういいワ。」
マリア先生はくるりときびすを返すと、京一にトドメのお言葉を残し教壇の方に去っていった。
「お昼休みに職員室までいらっしゃい。」
「…………………………………はい。(ガックリ)」
あうぅぅぅぅ〜〜、京一、土曜日の補習確定。
 そうして、《おつかい》果たせなかった俺には、当然のように延々と姉さんの罵声が叩き付けられる事になっちゃったんだ。
『こぉーのぉ、ボケなすタマ、スカ、カス、バカ、マヌケ、大ボケ野郎、脳腐れ、パープー頭のノータリンの役立たず、てめえなんざ《ポスペ》以下だ。いっぺん《黒ヤギさん》に食べられて《ごみ箱ポイ》されてこい!!。』
うわぁ―――ん(泣)。実の弟にそこまで言うの。俺の所為だけじゃないのにぃぃぃ。
嫌いだ、姉さんなんて。家出してやるぅぅぅぅ。



 * 京一



 祭囃子が脳天気なまでに周りを跳ね回っていやがる。

 俺達は、例によっていつものメンバーで花園神社の縁日にきていた。
『わーい♪。やっぱ、お祭りってイイよねえ。』
 ウキウキとした声を俺に掛けてきたのは、現在《家出中》だというタマだ。(何で家出先が俺の肩の上なんだ?。)
 今の処ひーちゃん以外は俺にしか見えないコイツは、昼前からその《ミニチュアひーちゃん》な分身の体を俺の肩の上にのっからせたままにしている。まあ、《家出》の原因は俺にも関わりがある事だし、重さがあるわけでもないので全然かまわないんだが、妙に脳天気なところが気に触っちまうんだよな。
『えらく、お気楽じゃねえか。』
『イイじゃない、楽しいんだから。ほら、姉さんの機嫌も治ってるみたいだし。』
 それはわかってる。俺がひーちゃんの配慮を無駄に終わらせちまってからっていうものの、ブッチギリの下降線を描いていたひーちゃんのご機嫌は、職員室から八つ橋もらって教室に帰ってきて《縁日》の単語を聞いてから上昇の一途を辿っている。
 今も小蒔や美里やマリィ達に奢りまくって(当然、自分も食べている)、あちこち跳ね回っているからな。そういう処は双子だよな、お前もひーちゃんも。
『なんか、不機嫌だね。さっきの《おみくじ》のこと気にしてるの?。』
『するかっ!、あんなモノ。たかが紙切れ一枚じゃねえか。』
『じゃあ、土曜日の予定がダメになったこと?。』
『・・・・・・・・。』
 いや、それだけじゃねえんだけどよ。ちょっとした自己嫌悪だ、気にするな。
『結構、ダメになって良かったかもよ。あんな色気もそっけもない誘い方じゃぁ。』
『タマ、お前なあ(怒)。』
 人が無い知恵絞って考えた、なけなしのデートの誘いをそう言うか。自分でも情けなかったと思ってるが、お前に言われると、何かムカッ腹が立つんだよ。
『仕方ねえだろ。ひーちゃんが、普通のおねーちゃんにするみたいに「美味しいケーキの店があるんだけど、一緒にお茶しないか?。」なんて言ったって乗って来るわけねーだろうが。』
『乗って来るよ。』
はい?!、今のマジ?。
『言い方にもよるけどね。姉さんってば、ブッチギリの《超甘党》・和洋問わずのお菓子大好きだから。そうだね、「美味しいケーキの店を見つけたんだけど、一人じゃ何か気恥ずかしいんで、付き合ってくれ。」って言えば喜びいさんで乗って来るよ。』
『今まで、そんな事(超甘党のこと)なんて聞いたことねーぞ。』
『そりゃ、言ってないもん。男らしくないから、人にわざわざ言う事じゃ無いってさ。』
男らしくないって……………(汗)ひーちゃん女じゃねえか。(みんなには内緒だが)
『とにかく、《美味しいお菓子》を餌にすれば大抵のことはOKだよ。そこん所に関しては小蒔ちゃんよりガードが甘いからね。』
『そんなに甘い物が好きなのか?。』
『そりゃもう、ブッチギリにね。こないだ、偶然渋谷で雨紋に会って奢って貰ったんだけど、甘党だって言ってた雨紋が唖然としちゃってたもん。』
なんだとぉぉ、あの《槍持ちピカチュウ》いつのまにそんな美味しいことを。って雨紋のヤツが唖然としたって………。
『参考までに聞くが、何を食ったんだ?。』
『ザッハ・トルテとモーツアルト・トルテ各2個づつ、それにアイスロイヤル・ミルクティーにアイスインディアン・ミルクティーもこれまた2杯づつ。』
『それって、そんなに甘いのか?。』
『無茶苦茶に、思いっきり。』(キッパリ)
むう……、これはなんとコメントするべきなのか。
『そうだねぇ、とりあえず日曜日あたりにもう一回チャレンジしてみてよ。仲間に鉢合わせせずに姉さんが喜ぶルートっていうと、池袋辺りで[パーラー・ミルキィウェイ⇒ナンジャタウン⇒サンシャイン・プラネタリウム]か、都営12号線で[豊島園絶叫マシン巡り⇒新宿タイムズスクウェアでアイスクリーム]、でなきゃ、ちょっとお金がかかっちゃうけど[銀座高級洋菓子店はしご食い倒れルート]ってとこかな。』
 おお、結構お子様テイストだがいけてるコースじゃねえか。(っていうか、金沢出身のお前が何でそんなに詳しいんだ?。)
『貴重なアドバイスありがとよ。』
『へへん♪。姉さんの攻略法ならいつでも聞いてよ。じゃあオマケだけど、もしその時姉さんになんかプレゼントするなら《キラキラ光る物》か《ふわふわ・フカフカした物》がいいよ。ああ見えて、その手の物が異様に好きだから。』
おまえはゲームの攻略本か?。いや、確かにありがたいんだけどよ。(つまり、貴金属系かぬいぐるみ系の物を贈れってことだな)
って、おいそれって………。
『ひーちゃんて、実は(あの言葉使いさえ除けば)無茶苦茶女の子らしいんじゃないか?。』
『あれのどこが?。本人の自覚さえないのに。』
 だってよう、料理上手(修学旅行の時の三段お重弁当は死ぬほど美味かった)で、裁縫上手(戦闘で綻びた制服なんてあっというまに直しちまってたよな、美里より上手だったぜ)、きれい好き(結構掃除も楽しいって言ってたことがある)、甘い物・貴金属・ぬいぐるみが好きで、礼儀作法まで完璧習得済(これは、雛乃ちゃんが感心してたもんなぁ)って、言葉使いと服装以外は《お嬢様の条件》完全クリアじゃねえか。自覚の有無の問題じゃねえぞ。また惚れ直しちまいそうだぜ。
『マジで、超絶に可愛くて女の子らしい。』(断言)
『京一ってば、とうとう頭までイカレてきてるね。』
 お前なあ、俺はともかく実の姉のことだろうが。それに何だ、頭までっていうのは。
『だって、京一ってば………。』
「何、ぼーっとしてんだ。京一?。」
「ひっ、ひーちゃん?!。」
『姉さん?!。』
 ひーちゃんてば何時の間に屋台から戻ってきたんだ。しまった、タマと話すのに夢中になってて気づかなかったぜ。
 よく見ると、美里や小蒔達もこっちへ戻ってきてる。
「京一は、もういいのか?。他の屋台とか廻らなくて。」
「いっ、いや……その………。」
 うーん。それにしても夜のひーちゃん(この場合は、龍那というべきなんだろうか)ってば、(他の奴らには見えないだろうが)相変わらず人を金縛るほどの凄まじいまでに麗しい美貌の《女神》様だ。
 たとえ着崩した学ランを身に纏い、その右手に綿菓子とチョコバナナと水飴(アンズのチョコチップがけ)、左手にたこ焼きとヨーヨー釣りのヨーヨーを持ち、ポケットに射的の景品のぬいぐるみをつっこんでいても、その《絶世の美女》っぷりは少しも色褪せない。
 どころか、満面の微笑みを浮かべて綿菓子食べてる処なんか、更に可愛らしさや可憐さまで加わって、そろそろ見慣れてきた俺でさえ頭にグラグラきちまうぞ。
『だから、まず眼が腐れてるっていうんだよ。』
 うるせぇ!!。不感症の審美眼無し野郎は黙ってろ。(って単に免疫があるだけなのか)
「へへっ、俺、今月そろそろ小遣い苦しくなってきたからな。他にも食べたいのは山々なんだけどな………。」
日曜にデートに行くなら、ここはグッと我慢だ。
「なーんだ、それなら早くいえよ。」
 と、ひーちゃんはおもむろに左手に持っていた皿からたこ焼きをひとつ取り上げると(あの両手の状態で器用だよな)、そのまま俺の目の前に差し出してきて、
「ほら、あーん………。」
 パクッ☆
「・・!!□・★○×・◎△・・♪。」
くーっっっ。生きててよかったぁ。この一瞬、俺はラーメンよりもたこ焼きを世界一美味いと思っちまったぞ。
なんか美里や小蒔が睨んでるし、醍醐のヤツは呆れた顔をしてるが、知った事か。
「足りなかったら、こっちのチョコバナナも一口食うか?。オレ、一口齧っちまったやつけど………ほら。」
もらうぜ、戴きます。パクッ。
「サンキュー、ひーちゃん♪。」
うーん、ひーちゃんと間接キスだ。俺、今マジで幸せで腹いっぱいだ。
『それで幸せになれる京一って、お手軽だねぇ。』
だぁ――――ぁぁっ、煩い!。タマモンもどき、お前、もうひーちゃんとこへ帰れ!!!。

「ほら、ひーちゃん。向こうで《ヒーローショー》やってるってよ。行って見ようよ。」
「うふふふ。行ってみましょうよ、龍麻。」
っと、まるで水を差すような美里と小蒔の誘いの声にひーちゃんはあっさりと踵を返す。
「えっ?!、行く行く♪。何処何処???。」
まるで踊るような足取りで、さっさとひーちゃんは二人の方へ駆け出す。
ちっ、仕方ねえか。
俺も、慌ててその後について走り出した。


 そうして、祭りの帰り道。
 はーっっ、なんか疲れるヤツ等にあっちまったなぁ。正義の味方だろうが、悪の秘密結社だろうが、とりあえず勝手にやっててくれって感じだ。
 なんだが、何かきっと俺たちに関わって来そうな気がするぞ。だってよう、ひーちゃんが。
「なんか、楽しいヤツ等だったな。今度練馬までショーを見に行こうかなぁ♪。」
 これだもんな。くっ。とりあえず、日曜日の予定から[豊島園ルート]は外しておこう。
『姉さん、特撮モノも結構好きだからね。』
『戦隊モノがか?。』
『ううん。どっちかっていうとウルト○マンや仮面ラ○ダー、あと宇○刑事シリーズ。怪獣が可愛いんだってさ。あと、アクションもそっちの方がいいって。』
 よかった、もし戦隊モノの方が好きだったら(汗)………考えるのよそう。
『来年はひーちゃんの浴衣姿が拝めるといいなぁ。』
 美里もマリア先生もそれなりに似合ってたけど(確かに、綺麗は綺麗だった)、きっとひーちゃんならその一千万倍くらい良く似合うと思うんだが。
『うーん、ちょっと厳しいね。とりあえず、俺の当面の野望は《振袖姿で初詣》までもってくことなんだけどね。そこんところは、是非とも京一に協力をお願いしたいんだ。』
『おう、まかせろ。』
 やらいでか。振袖がクリアできたら次ぎは水着に浴衣だ。って、その前にちゃんと日曜日にデートに誘って、きちんと《告白》をしよう。気持ちは言葉にしなけりゃ伝わらないもんだ。そっからが勝負の始まりだぜ。大丈夫、俺にはこの《ひーちゃん必勝攻略本》(タマ)があるさ。

なんて、次ぎの算段を考え様とした、その時………。

「!!!。」
『京一、姉さん!!。』
「みんな、気をつけろ、何かいる。」
「………!!。」
「きゃっっ?!。」
「嘘?!。」

何だ、鬼だとぉぉぉ?!。
畜生、いったいどういう事だ。
俺は愛用の木刀をかまえて、ひーちゃんを庇うように一歩前に踏み出した。



 * 龍那



「おまえ、何で…………。」
 今、オレたちの前に存在をしているモノは、既に倒されたはずの異形の存在だった。
何故だろう、天には月が淡い光を満たしているというのに此処に感じるのは深淵の闇だけだ。
深い深い、希望という光を拒絶した底知れない絶望の闇。

「九角さん…………。」
「そんな、馬鹿な。」
「なんで?、たしかに倒したはずなのに。」
「………九角。」
 みんなの驚愕した声がオレの意識を現実に引き戻す。

 ――――――九角 天童。

 過去からの怨念と血に縛られて、この地の未来を怨嗟で蔽う事を望んだ存在。
 己の意思と想いさえ、その怨念の呪縛をうけていたであろう、自ら人であることを棄てた、いや、棄てざる負えない処まで自らを追い込んでしまった哀れな《鬼》。

 その、かって人であった時の面影すら留めていない存在から、オレ達に向かって叩き付けられる《怨念の声》は、なぜか憎悪よりも悔恨と憐憫の響きをオレに感じさせた。
オレ達に向けられる視線に内包されているのは、深き絶望と微かな憧憬。


「哀れだな、緋月。」
その異形の瞳が、不思議と澄んでいたその視線がオレに向かって固定されたとき、思わぬ言葉がオレに向かって放たれた。
「人ならざるモノとなったこの身ゆえに、見えざるものも明かされぬものも我が眼に映る。」
こいつ、オレの今の《姿》が見えるのか。
「何だと?。どういう意味だ!!。」
「………そうだ。《お前達》は俺よりもなお呪縛された存在。俺を縛っていたのは過去の怨念と未来への怨嗟。だが、《お前達》を縛り付けるものは現在の【星宿】と過去の《願い》と未来への《想い》。」
「なっ、何を言っているんだ?。」
やめろ!!。なんでそんな瞳でオレを見る。
「ひーちゃん!。」
『姉さん!。』
「お前自身では、けっして断ち切る事はできない。その優しさと返す想いの大きさゆえに。」
あいつの纏う闇が、じわじわとオレに迫ってくる。
「それゆえに、呪縛と負う《想い》ゆえに、おまえはいつか呪うだろう。己が身を、己を産み出せしものを、己を育みしものを、己をこの世に存在させた全てのものを。」
 違う!!。そう叫びたいのに、オレの体はその闇から紡がれてくる言葉の鎖に繋がれる。
迫りくる闇に抗する術がない。
オレは何かを呪ったりしない。したくないのに。
「お前はいつか望むだろう、己の死か、己を繋ぎとめる想いの消滅か、己を存在させる世界全ての破滅を。」
ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう・ちがう………。
オレは決してそんなこと望んだりしない。
「人はいつか望むだろう、世界を破滅させうるお前の死を、お前が選びし【運命】の消滅を。何故ならお前は【龍珠】だから、決して【龍の器】ではないから。それゆえに、平穏を望む者達はお前の存在を望まない、その存在は疎まれるものでしかない。」
闇がオレに辿り着く。
オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オレは・オオレは・オレは・オレは・レは・オレは・オレは・オレは………わたしは、……………。

わたしは望まれないものなの?。

貴方も、孤独なの?。わたしも、孤独なの?
貴方も、疎まれるものなの。わたしも、皆に疎まれるようになるの?。

「いずれくるなら、それが今とて同じこと。さあ…………。」
闇がわたしに触れる。
その触れた闇から感じる。その血の呪縛故に貴方の満たされることのなかった心。嘱望、寂しさ、悲しさ。そして決して手に入らなかったものへの憧憬。
わたしは・・・・。

わ・た・し・は・・・・。


「ふざけんじゃねえ!!。」
その怒号と共に凄まじい【陽の氣】があたり一面にが放たれる。
周囲に満たされていた深淵の闇がその陽(ひかり)の刃に千々に引き裂かれ、月光に融ける。
わたしに触れていた闇が吹払われ、代わりにわたしの心と体をその陽(ひかり)が優しく包む。
真昼の太陽のような【氣】を放ったのは、わたしの傍らに立っていた存在。
圧倒的な陽の【氣】に満ちた人間。

「きょう・い・・ち?。」
大切な仲間、オレの大事な【相棒】。いつも、どんな時でも傍らに在ってオレを陽(ひかり)に満たしてくれる存在。
いつのまにか繋がれていた手から、なおも激しくてでも暖かい【氣】が流れ込んでくる。
「グダグダとわからねえ。ゴタクを並べてんじゃねえよ。」
流れ込んでくる【氣】から感じる熱い《想い》。家族とも違う、仲間達とも違う、心地良くてでも未知なる《想い》。
「見える・見えねえとか、過去だの未来だのいずれ来るモンだろうが、知った事か!。俺達は【今】をこうやって生きてるんだ。いっぺん死んじまった野郎が、未練たらしく戯言ほざいてんじゃねえ!!。」
でも、その熱い《想い》にこのまま身を委ねていたいと思ってしまうのは何故だろう。
「ひーちゃんにできねえって言うんなら、俺が、俺達が代わりにやってやりゃあいいことだ。その為に、助け合って支えあうために、相棒や仲間ってもんがいるんだよ。てめえにはいなかったろうがな。」
「………京一。」
「いくぜ、ひーちゃん!。今度こそアイツに引導をわたしてやる。」
いつもオレに未来(さき)へ進む力をくれる力強い声、そして太陽のような瞳の光。
「あったりまえだ!。いくぞ。みんなも良いな。」
オレ達は走り出す、まだそこに残された【闇】に向かって。
今度こそ、その孤独から開放してやる為に。


「葵ちゃんは【力天使】を皆に。その後、【主天使】をマリィとミサちゃんにかけてくれ。醍醐は【白虎変】してからマリィとミサちゃんを護りながらいっしょに前進、アランも一緒に続け。翡翠はアイテム(注:月草のこと)で皆をフォローしながら後ろに廻り込んでくれ。小蒔ちゃんはその場から【疾風】でみんなを援護。雷人は撹乱しながらアランをフォロー。」
オレは矢継ぎ早に指示を飛ばしながら、皆が肯いたのを確認し京一とさらに前へ進む。
「ひーちゃん、徹底的にやる気だな。」
「おうよ。あったりまえだろ。あっ、葵ちゃん。オレ達にも【智天使】を忘れないでね♪。」
『ほんとーに、徹底的だね。何も其処までしなくても。』
「うるさい!!。お荷物タマモンは黙ってろ。マリィ、【朱雀変】だ。」
「OK!、オニイチャン。」
「ハッハッハッ、ボクモ【青龍変】スルネ。」
「よし、アランも、行け!!。」
よーし。これで《方陣技》シフト完成。(ってあれ?、翡翠は【玄武変】してないなぁ。まあ、べつに支障はないけど)
【ドラゴン・プラチナス】→【アッシュストーム】→【四神方陣】→【六亡魔方陣】→【サハスラーラ】のコンボで一気にで決めてやる!!。

 うにゅう、それにしても胸が邪魔だよぉ。今日は《お祭り》っていってたから(思いっきり食べる為に)サラシ巻いてこなかったんだよなぁ。
戦闘になるってわかってたら、キッチリ巻いてきたのに。
うううう。ふにゅにゅ。どうしてオレには夜になると、こんな鬱陶しいモノが出てくるんだ。
 葵ちゃんとか、舞子ちゃんとか、亜理紗ちゃんとかは邪魔じゃあないのかなぁ。あんなに大きくて邪魔臭そうなのに。
できるもんならいっぺん聞いてみたいぞ、「この邪魔なモノは普段どうしてるんですか?。」ってな。(無理だけど)
畜生ぉぉぉ。邪魔だ、邪魔だ、邪魔だぁ―――ぁぁぁ!!!。



* 京一 



夜空に輝く月は何も変わってない。
さっきまで、何も知らずに未来夢見て過ごしていた時が終わっても。新たにこの【力】を振るわなくてはならない《今》とその先の未来が始まっても。


九角は再び闇に還って行った。
俺達に拭いきれない不安と謎めいた言葉を残して。


「ひーちゃん!。」
龍山のじじぃの家からの帰り道。
 皆はあの九角の言葉を気にしてひーちゃんを心配していたが、当のひーちゃんのガンとした態度によりそれぞれに別れて帰っていった。ひーちゃんの言い出したら絶対に引かない所は皆が充分承知していたからだ。
 だが、俺はそんな事が納得できるはずも無く、こうして2・3発はぶん殴られる覚悟で戻って来て見れば、案の定ひーちゃんは別れた場所からそう離れた所ではないあたりの電柱に凭れ掛かって立ち尽くしていたというわけだ。
「京一?、おまえ何で………?。」
「何では、こっちの台詞だ。」
虚ろな蒼い瞳がいぶかしげに俺に向けられる。その瞳の空虚さになにか苛立って、俺は強引に其の腕を取る。
「こんな所でいつまでも、なにボーっとしてんだよ。」
「何でって………?。」
「一人じゃ危ねえだろうが!。さっき、あんな奴等が出てきたばっかりなんだぞ。」
相手が【鬼】じゃなくても危ねえぞ。今の(夜の)ひーちゃんは、【傾国の美女】も真っ青になる人類の限界に挑戦した《奇跡》のような美貌の《絶世の佳人》とも言うべき【女性】なんだからな。どんな不埒な野郎が涌いて出てくるかわかんねえじゃねえか。
「…………。」
「ひーちゃん。」
「………。」
「ひーちゃん!!。」
「…………。」
ひーちゃんはゆっくりと俺の肩に頭をもたげさせてくると、消え入りそうな声で呟いた。
「………オレはこのまま皆の側に居てもいいのかなぁ………。」
やっぱり気にしてたのか、あの野郎の戯言を。(らしいっちゃ、らしいけど)
んったく、しょうがねえなぁ。
「本当にバカだなぁ、ひーちゃんは。居てもいいのかじゃねえよ。」
俺は、ゆっくりと自分の腕をその背に回して抱き締める。力を込めた腕からそのまま言葉にならない想いも伝わるように。
「いてくんなきゃ困るんだよ。皆はもちろん、俺もな。」
「京一………。」
「だいたい、ひーちゃんがいなきゃ誰に俺の背中任せたらいいんだよ。相棒だろ。」
「………。」
「ひーちゃんは、いや、龍那はここにいてくんなきゃ駄目なんだ。」
俺の為に、俺の側に。それが言葉にならない想い。
「京一………。」


 暫くそのまま抱きしめていると、俺はなんかいつもと違う感じにに気付く。なんかひーちゃんの胸の感触がみょうにリアルな感じだ。
『姉さん、今日はサラシ巻いてないからね。』
げっ、いたのかタマ。(って、あたりまえか)このデバガメ野郎、ちったぁ気をきかせろ!!。今イイとこなんだから。って…………、
『サラシを巻いてないぃぃぃぃ?。』
そっ、それは俗に言う《ノーブラ》状態というヤツでは………(汗)。
『そっ。べつに姉さんのサラシ無し状態なんて京一は初めてじゃないんだから、そんなに焦ることないでしょ。』
この朴念仁の大馬鹿野郎!。状態を認識しているのとしていないのじゃあ、大分違うんだよ。
思わず体を離そうとすると、今度は逆にひーちゃんの方が腕に力を込めてきた。
「ひっ、ひーちゃん?!。」
「もう暫く、このままでいてくれるか?。」
「………(汗)。」
そっ、それはすんごく嬉しいんだけどな。だけど……、だけどな………(滝汗)。
くそっ!!、落ち着け俺の心臓。沈まれ俺の血液。頑張れ俺の理性。
こんな所で醜態を晒したりしたら、一生の恥だぞ!!。日曜日のデートが夢と消えちまう。
だぁぁぁぁぁぁ。思わず天を仰いじまいそうになったとき。

 殺気?!!。

「【水裂斬】!!」
「【陽炎・細雪】!!。」

俺は、襲いかかってきた水をとっさに凍結させ打ち砕く。
あんにゃろぉー。いきなり仕掛けてきやがって。

「あれぇ――ぇ、翡翠?。どーしたんだ、危ないだろう。」
だが、イマイチこの鈍亀腐れ忍者のヤツの本性に気付いてないひーちゃんは、突然の乱入者にあくまでのんびりと問い掛ける。
「やあ、龍麻。無事でよかった。」
って、わざわざ塀の上から飛び降りてくんな、この根性曲がり亀忍者。
「無事って?。」
「向こうから引き返してきたら、君が【鬼】に襲われてるように見えたのでね。」
嘘つけ。解っててやりやがったくせに。
「大丈夫だよ。だいたい、ここにいるのは京一なんだから。翡翠でも見間違える事なんてあるんだな。」
「い、いや………(汗)。それより、そうはいってもね………。」
「本当に大丈夫だよ。ところで、翡翠ってば何でわざわざ引き返してきたんだ?。」
「ああ、さっきの戦闘で拾ったものを渡し忘れていてね。これは君向けの装備品だと思ったので届に来たんだ。」
そうのたまって、腐れ亀野郎が取り出してきたのは九角の野郎が落とした【独鈷杆】。
そういうのは戦闘が終わってから直ぐにだしやがれ!!。てめえ、こういう機会狙って出し惜しんでやがったな。姑息なマネしやがって。
俺は、思わず木刀を若年寄亀に突きつけて怒鳴りつける。
「てめえ、殺しかけた俺を無視してひーちゃんと話を進めるとは、どういう了見だ(怒)。」
「おや、まだいたのかい、さっきの一撃でいなくなったのかと思ったよ」
このぉぉ(怒)。いけしゃあしゃあと。
「やっぱり、てめえとはいっぺんよーく話をつけといた方がよさそうだな。」
「奇遇だな、僕もそう思っていたところだよ。」
お互いの得物を握り締める手に力が篭り、俺達の発する【氣】で周囲の温度が一気に下がる。

「京一?!、翡翠!!。」
『落ち着きなよ、京一ってば。』
ひーちゃん達の制止の声も、もう耳に入らない。

「いくぜ!!。」
「参る!!。」



 そうして、脳腐れ亀野郎と殺りあいながら、またしても俺は後から気が付いた己の失態に臍を噛んでいた。
だぁぁ―――ぁぁっっっ、せっかくさっき良い雰囲気だったんだから、さっさと告白しちまっとけばよかった。
俺の大馬鹿。
ちっくしょう、次回にチャレンジだ!!。



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 □ 【無事二回目だよ。嬉しいな対談】

峠之「やったね!!。ちゃんと年内にあがったぞぉー♪。」
龍麻「結局、シリーズタイトル【龍珠の乙女】にしたんだね。」
峠之「いいだろ。べつにかまわないっていってくれた人がいたんだから。そうそう、作中に出てきた《モーツアルト・トルテ》は渋谷に五年以上前から実在します。マジで甘いです。」
京一「どんなモンなんだ?」
峠之「味の濃いめの薄切りチョコスポンジを板チョコとチョコクリームで挟んで五段重ねにしたものを、さらにチョコレートコーティングしてパウダーチョコをかけてあって、板チョコで飾りつけしてチョコレートソースに浮かべて出てくる。ちなみに、アイスインディアンミルクティーは《不二家のミルキー》を液体にしたものが一番味が近い。」
京一「コメントは控えよう。」
峠之「私でさえ一個以上は遠慮したい、美味しいんだけどね。」
龍麻「それにしても、今回は俺の扱いがずいぶんじゃないの」
京一「オマケからはじまって、チ○クちゃんに、ポスペに、攻略本に、デ○モンに、デバガメだもんなあ。すっかり便利アイテム扱いだな。まあその内《ゴールドシェンロモン》とかに究極進化して渦王須と《ドラゴン対決》とかすんじゃないのか?」
龍麻「だから俺はデジ○ンじゃないって。京一はいいよね、とりあえず【公式ヒーロー】なんだからさ。」
京一「とりあえずとはなんだ、とりあえずとは。(怒)」
峠之「まあ仕方がないな。前回でも言った通り、所詮お前はマスコット。タマが活躍できる話なんて、今んとこ【恋唄】の話か【封土】の後半くらいしか考えてないもん。」
京一「(紗夜ちゃんがらみってことか)なら書いてやれば【恋唄】の話。」
峠之「あのなぁ、誰が読んで楽しいんだ、紗夜ちゃんとタマの《手も触れ合うことのできない純愛ラブロマンス》なんて、リクエストでもあるんならともかく。おまけに、それ書いてたらこっち(龍那と京一)の話が遅れるぞ。いいのか?、【陰】に行くのが延びても。自分で《なめくじ物書き》呼ばわりしたくせに。」
京一「大却下!!。書くな、書かんでいい。」
峠之「欲望に忠実な奴だな。」
龍麻「この裏切り者!。今度、《次点》の壬生に姉さんの攻略情報流してやる。」
京一「タマ、てめえ。(怒)」
如月「(突然)そこだよ。」
峠之「おや、若旦那、いらっしゃい。本編登場記念かい?。」
京一「てめえ、何しにきやがった。」
如月「決まっているだろう、疑問を解決にだよ。何故、後から登場の壬生が《次点》なんだ。もっと前から僕という立派な《対抗馬》がいるのに。」
峠之「お前、《対抗馬》なんかじゃないぞ。この話ではただの《あて馬》だ。」
龍麻「だって、翡翠ってば一人っ子の跡取息子じゃん、《飛水流》のさ。だから、婿養子にこれないでしょ。おまけに最終的には朱日さんいるし。」
如月「くっ………。」
京一「はははっ、ざまぁみろ。(アッカンベー)」
峠之「京一、お前もカウントダウンが始まっているのを忘れるなよ。精進しないとタイムアップで【龍神翔】くらって《本命》蹴り落ちだかんな。今回もたいして進展してないんだし。」
京一「ぐっ………(汗)」
峠之「というわけで、次回予告いきます。次回は番外編みたいな話(本編【胎動】と【魔獣行】の間に入る話)でちょっと色物になります。」
龍麻「でも【龍珠の乙女】3章なんだよね。」
峠之「だってネタは色物でも、結構本編に関わりあるんだもん。」
龍麻「では、また次回にね。あっ、もし俺のことを少しでも哀れに思ってくれる人がいたら、どんな手段を使ってもいいんで、【恋唄】話のリクエストしてね。」
京一「さりげに、馬鹿なこと言ってんじゃねえ!!。」


とりあえず、ここまで。



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