「畜生!!。何だってんだ、劉の奴。」
「ふにゅうぅ。大丈夫か、京一?。」
劉の奴は、俺達が訳も分からず惚けている間に、さっさと姿を消しちまいやがった。
「あんにゃろぉ―――ぉぉぉっっ(怒)。《詫びに一発》なんて、何考えていやがるんだ!!。」
しかも、2発分はまけとくだとぉぉ。意味不明の寝言ぬかしやがって。
次に会った時は、絶対に三倍返しにしてやる!!!。そう心の中で堅く誓いながら、俺は木刀を握る手に力を込める。(ちなみに、空いてる方の片手はひーちゃんの腰をキープしたままだ。)
「うにゅ。京一、ちょっと、じっとしてろ。」
ぱふっっ。スリスリ☆。
「ひっ、ひーちゃん…………(汗)。」
片腕の中に抱き込んだままだったひーちゃんが、自分から柔らかく抱き着いてきて、いつもの様にスリスリすると、温かい【氣】が流れ込んできて、すーっと殴られた顎の痛みが引いて行く。
「これでもう痛くないだろ。今日は葵ちゃんしか回復役がいなかったから、オレと小蒔ちゃんは【魯班尺】を装備してたんだ。」
なるほど(【結跏趺坐】射程+1か)。そういえば、今日は野郎の応援ばっかりだったな。
「だから、ここはオレに免じて、もうユエのこと怒んないでやってくれ。きっと、さっきのにも何か理由があるんだろうから…………。アニキ分として、オレにも責任あるからさ。」
う―――――っっっ、。ひーちゃん、劉の奴に甘すぎ。(激甘だぜ。ムカッ)だいたい、アイツのアニキ分なんかじゃないだろ、ひーちゃんは。(百歩譲っても、アネキ分の間違いだ)
「だけどようぅ、ひーちゃん…………。」
「だめか?。」
うっっっ(汗)。出た!!、本日二度目の《じーっと見つめちゃうぞ》攻撃。これに抵抗できる奴なんかいるのかよ。(少なくとも、俺の知っている限りはいねえな。)
「……仕方ねえなあ。わかったよ、ひーちゃんに免じて、ここは水に流してやるよ。」
「ふにゅ♪。ありがとう、京一。」
スリスリ☆。
これまた、本日二度目。(う――っっ、幸せ)。これなら、劉のことなんてチャラにしたってお釣がくるぜ。
なんか、ひーちゃん今日は、何でも二倍サービス♪。俺、この4日間分を一気に取り戻しちまった気がするぜ。
「じゃあ、その代わり、ちょっとこれから俺に付き合ってくれよ。」
「うきゅっ?。何だ??。」
「ここのビルのショッピング街。前に約束してたろ、リボン、無くしちまったヤツと同じ物買ってくるって。いい機会だから、このまま一緒に探しに行こうぜ♪。」
ドサマギにデートのお誘い。チャンスはどんな時でも(たとえ死んでも)見逃すべからず。今回で骨の髄まで染みとおった教訓だ。
「うにゅう♪。付合う。オレ行く、一緒に行く。そしたら、その後ラーメン屋に行こ、今度はオレが奢るから。そんで、それからあのパーラーでまた《星座パフェ》食べて帰ろう。オレ、今度は《獅子座》のヤツが食べたい。なあ♪。」
よっしゃあ―――――ぁぁぁぁ!!!!!。これでOK。
後で、もっぺん、《告白》に、リベンジだ。(さっきの勢いなら、絶対にイケル!!)
「じゃあ、行こうぜ、ひーちゃん。」
「うん、京一。」
俺は、ひーちゃんと連れ立って歩きはじめた。
まだ、その場に残っていた、諸羽とタマのことをスッパリ忘れ果てて…………。
―――――――追記。《直後:タマと諸羽の内緒話》
俺は、去って行く二人の後ろ姿にうっとりを見入っていた霧島君にこっそりと話し掛ける。
『ねえねえ、霧島君。』
「はい。何ですか?、タマさん。」
『ものは相談なんだけどさぁ。その、こっそりと隠し持っている《デジカメ》のFD中身を、俺にコピーさせてくれるかな?。京一と姉さんには内緒にしとくから。(クスッ)』
「(ギクッ)なっ、何のことですか?(汗)。ははははは…………。」
『トボケたって無駄だよ。それとも、京一達にバラされた挙げ句に、今すぐそのFDのデータを俺に破壊されたい?。』
「うっっっ(滝汗)。…………わかりました。その代わり、絶対に中身を龍麻先輩方には見せないで下さいね。だいたい、暗かったんで上手く撮れてるかどうか判りませんから。」
『了ぉ――解♪。でも、大丈夫だと思うけど。何だったら、俺が多少の細部微調整はしておくからさ。んで、その代わりといっちゃあなんだけど、姉さんの前の学校の制服姿の写真なんて横流してあげるけど、どう?。学ラン姿とセーラー服姿と両方あるよ。京一だって持ってないヤツなんだけど…………。』
「えっ?!。いいんですか?。それ、すっごく嬉しいです♪。ありがとうございます、タマさん。」
『じゃあ、商談成立だね。』
フフフッ。今度、義母さんにこの写真送んなくっちゃ。京一、婿養子一直線だな。フフフ。
それにしても…………、
『京一ってば、今の自分達が周りからどう見られるのか、スッパリ忘れてるね。』
今日は二人共学ラン姿なんだから、いくら姉さんが中性的な顔立ちに見える(注:【目晦まし結界】発動中の為)とはいえ、端からみたら《美形ホモカップル》なんだけど(汗)。
「いいんじゃないですか、京一先輩方が幸せなら。僕も、お二人を見ていて嬉しいですし。」
とは言ったって、《学ラン姿の美形男子高校生カップル》が、サンシャインシティの地下ショッピング街で《可愛らしいリボン》なんか買ったら、妖しい以外の何者でもないよ。
しかも、(ラーメンはともかくとして)その後、フルーツパーラーへ行ってパフェ食べようなんて………。(あのパーラーに男子高校生二人連れは違和感有り過ぎ)言い出す姉さんも姉さんなら、喜んで従う京一も京一だ。(あ――っっ、頭痛い)
『まあ、いいんだけどね。』
霧島君じゃないけど、二人が幸せならさ。
でも、まだまだ、俺がフォローしてやんなきゃ駄目みたいだ。本当に、仕方がないよね。
『じゃあね、霧島君。FDの件はヨロシクね!。』
そう言って、俺は前を楽しそうに歩いている二人を追いかけた。
ちなみに、二人のデートはやっぱり目的を完遂できなかった。
買い物が終わって(結局、前回のとは色違いの白いリボンを買った。)出てきた東急ハンズの前で、バッタリ、(同じく買い物&食事帰りだったらしい)翡翠達(翡翠・雨紋・アラン)に会っちゃったんだよ。
本当に、つくづく星の巡りの悪い男だよねぇ、京一って……………。(溜息)
―――――――― えんど♪。
こちらは、正しく限定生産品SS。現在、ここでしか見れません。
でも、次回の「あふたーでいず☆」に結構ネタが続いちゃってます。なので、以下次号!!(汗)。