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利用者理解と接遇・介助Ⅱ
4.内部障害者
内部障害とは、身体障害者福祉法で定める障害のうち、①心臓機能障害、②腎臓機能障害、③呼吸器機能障害、④膀胱・直腸機能障害、⑤小腸機能障害、⑥ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV感染症)、⑦肝臓機能障害の7つを指す。肢体不自由などの一般的な身体上の障害に比べて周囲の認識や理解を得られにくいことが問題となっている。機能障害を補うための医療(機器)が必要で、機能障害を原因として体力が減衰する人や、合併症を抱える人が福祉輸送サービスを必要としている。
①心臓機能障害:不整脈、狭心症、心筋症のために心臓機能が低下した障害で、ペースメーカー等を使用している人もいる。
②肝臓機能障害(肝不全):肝機能が低下した障害で、定期的に人工透析のために通院している人もいる。肝臓機能障害者(肝不全患者)は、内部障害者の中でも特に福祉輸送サービスへのニーズが高い。肝臓は体内の血液を絶えず濾過し、水分や老廃物を尿に変えているが、病気等が原因で慢性肝不全になった場合、からだ中に水分や老廃物がたまって尿毒症状(だるい、吐き気、食欲不振、動機、むくみ、けいれんなど)が現れる。肝不全になると肝臓の機能を補うため、人工的に血液を濾過するための人口透析が必要になる。透析患者の中には、近年、高齢者による歩行障害や糖尿病による重複障害を持ち、通院介助を必要とする人が増えている。
③呼吸器機能障害:呼吸器系の病気により呼吸機能が低下した障害で酸素ボンベを携行している人や、人工呼吸器(ベンチレーター)を使用している人もいる。
④膀胱・直腸機能障害:膀胱疾患や腸管の経過障害で、腹壁に新たな排泄口(ストーマ、オストミー)を人工的に造設しているもいる。トイレの中に排泄のための補装具(バウチ)の洗浄できる水洗装置、温水設備等を設置することが推奨されている。
⑤小腸機能障害:栄養を吸収する小腸の機能が損なわれた障害で、食事を通じた栄養維持が困難なため、定期的に静脈から血液の補給を受けているいる人もいる。
⑥ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV感染症):ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、免疫機能を担うリンパ球への感染と破壊によって、免疫機能を著しく低下させる。免疫機能は、様々な感染症に対して生体を防御する機能であるが、この機能に障害があると、日常生活等で人間を取り囲む環境内にある細菌、ウイルス、カビなどの感染源への耐久力が低下する。その結果、健常者では何の問題も生じないような環境において、疾患を発生しやすくなる。なおHIVに感染し、通常では感染しないような弱い感染源に起因する感染症(日和見感染症)を発症した状態をAIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)という。
⑦肝臓機能障害:肝機能障害とは、肝臓が何らかの異常によって障害を受けることにより、正常に機能しなくなることをいう。肝臓は沈黙の臓器といわれ、自覚症状がないことが多いが、進行すると全身倦怠感・食欲不振・黄疸などの症状が現れる。肝機能障害をそのまま放置すると、肝炎・肝硬変・肝臓がんなどに進行する恐れがある。
5.知的障害者
知的障害者とは、「考えたり、理解したり、感情をコントロールしたり、話したり」する等知的な能力やコミュニケーションに障害が生じ、社会生活への適応能力が同年齢の子供と比べて低いなどの課題を持つ障害である。主な原因として、ダウン症候群などの染色体異常によるもの、脳性麻痺やてんかんなどの脳の障害によるものがあげられる。また、発達障害を合わせもつこともある。
①ダウン症:出生時から身長・体重が小さく、成長に時間がかかる。性格は一般的に陽気で温厚、愛嬌があるといわれている。コミュニケーションの発達特徴として、理解する能力に比べ、表出機能が遅れている。肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、心臓等の疾患、自閉症やてんかん等の合併がみられる。
②てんかん:脳内に正常よりも強い電気的変化が突発的に生ずることにより、意識が薄れたり、けいれんの発作が起きたりする病気であり、精神障害に分類される場合もある。
6.発達障害者
①自閉症
自閉症は、社会的な関係の障害、コミュニケーションの障害、想像力(イマジネーション)の3つの領域に発達の偏りのある障害である。自閉症と診断された人の7割りは知的障害を伴っているといわれているが、知的障害を伴う場合であっても、描画・音楽・計算・記憶力などに、突出した能力を持っている人もいる。
②アスペルガー症候群
自閉症の特徴を持ちながらも知的障害を伴わず、かつ言葉の発達に遅れもない障害と位置づけられている。
7.学習障害者
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。
8.精神障害者
①統合失調症
認知、情動、意欲、行動、自我意識など、多彩な精神機能の障害が見られる。大きく陽性症状と陰性症状の二つがあげられ、その他の症状に分けられる。全ての患者が全ての症状を呈するのでないことに注意が必要。客観的に見てありえないことを事実だと信じること、すなわち妄想を抱くことが多い。
②うつ病
うつ病の症状には精神症状と身体症状がある。また、これらの症状が、1日のなかで時間とともに変化するのも、うつ病の特徴である。多くの場合は、朝が最も悪く、夕方にかけて回復していく。
(精神症状の例)
・抑うつ気分
・気分が落ち込む、憂うつ、理由もなく悲しい気持ちになる、何の希望もない。
・興味や喜びの喪失
・今まで好きだったことや趣味をやる気になれない、テレビや新聞を見てもおもしろくない、性的な関心や欲求も低下する。
・精神運動の障害(強い焦燥感・運動の制止)
・体の動きが遅くなる、口数が少なくなる、声が小さくなる。また、逆に、じっと座っていられない、イライラして足踏みをする、落ち着きなく体を動かす。
・思考力や集中力の低下
・頭がさえない、考えがまとまらない、決断力や判断力が低下する、反応が遅くなる、仕事の能率が落ちる、注意力が散漫になって、人のいうことがすぐに理解できない。
・意欲の低下
・人と会ったり話したりするのが面倒になる、何をするのも億劫。
・自責感
・何でも悪いほうに考える、必要以上に自分を責める、まわりの人に申し訳ないと思う。
・希死念慮
・生きていくのがつらい、死んだほうがましだ。
・精神病症状
・自分が重大な罪を犯したと思い込む罪業妄想、貧乏になったと確信する貧困妄想、がんなどの重い病気になったと信じ、検査結果で心配ないと話しても訂正できない心気妄想などがみられることがある。
(身体症状)
・睡眠の異常(不眠または睡眠過多)
・食欲の低下または増加
・疲労、倦怠感
・ホルモン系の異常…月経の不順、性欲の低下、勃起の障害
・その他の症状…頭痛(すっきりしない鈍い痛み)、頭重。肩、腰、背中などの痛み
③パニック障害
パニック発作といわれる、急性の強い不安の発作を繰り返す症状を特徴とする病気である。パニック発作では、突然の激しい動悸、胸苦しさ、息苦しさ、めまいなどを伴う強い不安と、死ぬかと思うほどの恐怖に襲われ、心臓発作などを疑って救急車で病院へかけつけるが、病院に着いたころには症状はほとんどおさまってしまっていて、検査などでも特別な異常はみられず、多くの場合そのまま帰宅する。しかし数日を置かず、また発作を繰り返し、次第に予期不安や広場恐怖が発展し、発作を恐れて一人で外出できなくなったり、医師から何ともないといわれていても心臓を心配して運動をひかえたり、病院を転々として検査を繰り返したりするようになる。症状が軽く、一過性でおさまってしまう場合もあるが、よくなったり悪くなったりしながら慢性に経過する場合が多くみられる。また、半数以上にうつ病を伴ってくることがあるので、注意が必要である。
④過喚起症候群
不安などで呼吸が早くなることによって、血液中の二酸化炭素の濃度が低下して、胸の苦しさ、動悸、ふるえ、しびれ、めまいなどの症状が出現する状態である。パニック障害を持つ人にみられるが、それ以外の人でも焦ったり、緊張したりすると、過喚起症候群をおこしてしまうことがある。
9.高齢者理解
加齢によって心身機能に変化が生じるが、その変化は個人差が大きい。心身機能の低下は、高齢者の生活や心理に様々な影響を生じる。高齢者には、主に次のような特徴がある。
・筋力、機敏性、順応性、視力、聴力などの低下
・長い距離を歩くことや、素早く行動することが困難になる
・疾病などにより、様々な複合障害が生じる
・筋力の低下に伴い、からだ全体のバランス能力が低下する
・つまずきやすくなり、転倒しやすい
・骨が脆くなり、骨折しやすい
・身体機能の低下により、ストレスが生じたり、自尊心が傷つけられたりすることがある
①身体機能の変化への理解
・記憶力が悪くても繰り返し伝える。覚えが悪いことを責めない。
・高音を中心に聞こえが悪くなる。静かな環境で話しかけ、運転者の口が高齢者に見えるようにして話す。
・老眼や色弱、白内障が現れるようになる。文字は大きく表示し、話しかけるときは近寄ってめの焦点が合っていることを確認する。
・体温調節機能が低下し、温度感覚が鈍る。高齢者からの訴えがなくても、車内の温度調節には気を配るようにする。
身体機能の低下に伴い、平衡感覚が鈍ったり、よろめいたり、とっさの動きがとれなくなる。動作が遅くなるなることで、急がされることをストレスと感じるようになり、時間内にできないために無力感や羞恥心を生じ、意欲をなくすことがある。動作を急がせず、座れる場所を確保するなどの配慮が必要である。
五感が全体的に低下するため、危険を察知しにくくなり、体の一部をぶつけたりしても痛みを感じにくくなる。ゆっくり大きく声掛けを行い、手足の位置や傷の有無などに注意する。
高齢者に多い疾病はいくつかあるが、中でも麻痺や骨・関節障害、認知症を抱えた人などが福祉輸送サービスの利用が多いと考えられる。また、一人でたくさんの病気を抱えているのも高齢者の特徴である。利用者の状態と対応をあらかじめ確認しておくことが必要である。
脳梗塞や脳出血など脳血管障害者の多くは、手足の麻痺や言語障害を伴い、日常生活に支障をきたしている。麻痺の状態を理解し、介助の範囲を確認することが大切である。
認知症の代表的な症状としては、直近のことを忘れてしまう「記憶障害」、今ここがどこかわからなくなる「見当識障害」、場にあった行動がとれない「判断力の低下」などが挙げられる。しかし、認知症の人の言動を否定、拒絶、無視などをせず、落ち着いた態度で接することが大切である。物忘れや妄想、人格変化などひとつのことに固辞する場合には、別の話題で関心や注意を他の方向に向けるなどの対応が必要である。